私は…文字通り…

フワリと抱え上げ…

いや、担ぎ上げられていた。

彼の左肩の上に荷物のように。

「ひゃあっ⁈」

視界に入る彼の広い背中と廊下。

思わず足を突っ張りそうになったら

岡「…めくれちゃうよ?」

って∑(゚Д゚)

今日はいつもより短めのスカートだったーっ。

かたまってしまった私を彼はまったく重さを感じないような足どりでリビングへと運ぶ。

うん。

運ぶ

って言葉がピッタリだよね…


かたまったままの私を

スカートがめくれないようにそっとソファにおろしてくれる。

岡「○○がいきなりかわいく誘うから…」

え?

誘う?

「あ…」

ギュウギュウしちゃったこと?

岡「せっかく用意したランチを食べないで○○を食べそうになっちゃったよ」

爽やかに

イタズラな笑顔を浮かべて

そんなこと言う。

岡「今日…さ。ちょっと早いけどホワイトデーってことで…いいかな?」

ホワイトデー?

「…もしかしてわざわざ早めてくれるの?」

その頃は確実にネパールだよね。

でもそんなこと気にしなくていいのに。

たとえホワイトデーに何もなくても

それはそれで彼らしくてたぶんクスッと笑ってしまうと思う。

岡「ん…。ただちゃんとしたホワイトデーってしたことがなくて。何したらいいかよくわからなくてさ。」

「…会えるだけですごく嬉しいよ」

本当にいつもそう思うから。

彼にまた会える、と思うだけで仕事もなんていうか前向きに頑張れる。

大変、よりも、頑張れたこと、を記憶に残せるようになったから。

岡「ん。でも…初めてのホワイトデーだし、できればちゃんとしたかったから」

仕事でめいっぱい忙しい中、そんな風に思っててくれたことに

胸がぎうぎうになる。

岡「というわけで、まずはランチを用意したから一緒に食べよう?」

さっきから食欲をそそるいい匂いがしてたのはそれだったんだね

「うん!ありがとう。」

岡「といってもパスタとサラダだけだけどね」

「パスタもサラダも大好きだよ」

というか、彼が私のためにつくってくれたなら
なんでもその日から大好物になるよね。

岡「…よかった」

私の顔を見てなぜか安堵のため息?

岡「実はさ…チャーハンと餃子にしようと思ってたんだけど、それは絶対やめろってとめられたんだよね」

チャーハンと…餃子。

好きだよ。美味しいから。

だけど

「誰にとめられたの?」

岡「あー健君。」

さすが!

三宅さんは乙女心を知り尽くしているんじゃないかな?

餃子

好きだけどニンニクつかわれたら…ちょっと…なんというか…ね?

岡「やっぱり健君に聞いておいてよかったよ」

ちょっと照れくさそうに口元を触る。

「ネパールから帰ってきたら…私がチャーハンと餃子作るね」

岡「え?」

「今日のお礼に。作らせて?」

岡「…ん。それを楽しみにがんばってくるよ」

私が作るならニンニク入れないで出来るからね(笑)