ゆっくりとベッドに降ろされる。

いつもの彼と違って

ベッドに片膝をつき、ワイシャツのボタンを片手ではずす仕草が

なんだか獲物を前にした野生動物のように熱く感じる。

岡「○○…」


そこからはまるで体の中に嵐があるの?というぐらい激しく愛され

体中隅々まで喜ばされ

彼の熱を受け止めた。



「岡田さん…」

終わったあと、彼は私を汗ばんだ胸元に抱きこんでどこか遠くを見るようた目をしている。

岡「ん?」

名前を呼ばれて私を見つめる目はなんだか悟りを開いた僧のように澄んでいて

「おめでとう。」

改めてお祝いの言葉を伝える。

岡「ありがとう。」

今日は何回その言葉を言ったのかな?

ねぇ。

本当によかったよね。

努力は報われるって

いろんな人が信じられたよね。

だから私も信じられる。

「エベレスト…楽しんできてね。」

きっとまた大変な撮影になるんだろうな。
ギリギリまで自分を追い込んで。

でも

それがいいんだよね?

そうしたいんだよね?

それが俳優岡田准一だよね。

岡「……」

私の心の裏側までも見透かすように見つめられる。

でも大丈夫。

晴れ舞台で輝いていた岡田さんを見て
信じれるって確信がうまれたから。

岡「……待ってて。」

「うん。待ってるよ。」

また一段と役者として高みに登っていくあなたを信じて楽しみに待っていられる。

岡「…ありがとう。」

「ふふっ。ありがとうばっかりだね。」

岡「んー。そういえば何回言ったかわからないな(笑)」

何回言ったかわからない幸せ。



ふとさっき思ったことを口にする。

「岡田さんってMだよね?」

岡「ええっ⁈なんで⁈違うよ。」

「そっか…自分では気付いてないものなのかな。でもたぶん世間的にMだと思われてると思うなぁ。」

なんだかショックを受けてる顔してる。
そうだよね、日本男子だもんね。ふふふ。
でもさぁ

「だって…自分を追い詰めるの好きでしょ?」

岡「そ…れは、そうかも…だけど。」

困惑した表情もさすが最優秀賞を2個もとる俳優さんだけあってかっこいい(笑)。


「私、がんばってSになるね!」

岡「っくくくっ。……○○…それは無理でしょ。」

柔らかく満たされた笑みを浮かべている。

あなたが幸せだと私も幸せになる。

この先私にも苦しいことや辛いことがあるだろうけど、それでも今日のあなたを思い出せば必ず乗り越えられると思う。

長い指で私の髪を梳いては毛先をクルクルと巻きつけもて遊ぶ。

「あのね…私も、ファンのみんなも、岡田さんを誇らしいと思ってるよ。」

指が止まる。

「それとね、そんな岡田さんを好きな自分も誇らしいと思えると思うな。」


だって見てきたから。
ずっと。
そのがんばりを努力を強い目を。

絡んでいた指がそのまま頭をゆっくりと抱き寄せる。

また彼の胸元に抱きしめられた私の耳に熱い鼓動が響く。

岡「これからも…見てて。」

「うん。ずっと見てる。」

明日の朝からはまた撮影がはじまる。

どんな仕事も

あなたを信じて

応援し続けるよ。