森「うまいだろ?」

岡「…剛君、これ食べてないでしょ?」

森「食ってなくてもわかんだよ。」

小学生のようなやりとりをしていたら、岡田が急にニヤニヤしだした。

森「…んだよ?」

岡「剛君~。今日、何月何日だ?」

森「二月だろ?」

何日か思い出せず、カレンダーを探しあちこち見渡すがない。
しょうがなく携帯を出し普段気にもとめない日付の表示を確かめると

岡「剛~く~ん。何日かわかった?」

………

黙って携帯をパンツのポケットに戻す俺を
まるで久しぶりに見つけた獲物のように目を光らせて見つめる岡田。

あれだな。こいつの表情。面倒なことになりそうな予感大だ。

つまり

逃げるが勝ちってやつだ。

そう心の中でつぶやくと無言のまま飲み物コーナーに移動しようとした。

岡「ちょっと、剛君。無視?」

右手首を掴まれる。

やばい。

こいつ相手じゃ

ぜってーふりほどけねー。

ちっ

森「…14日だろ。」

掴まれた手首を見ながらつげる。

岡「ん。バレンタインデーだよ。」

めんどくせぇー。

まさか自分から絡まれるネタをやってやるとは。

岡「バレンタインデーに剛君からチョコもらっちゃった。」

ニヤニヤニヤニヤしやがって。
お前もさっき言ってただろ?
そこに置いてあったチョコなんだよ!


だけど…



言いかけてやめる。



そんな俺を訝しげに見つめる。

岡「剛君?怒った?」

不安そうな表情。
それさえもかっこいーってのは得だよな。

ちっ。

岡田の台本の上に散らばっていたチョコを一つ掴み、乱暴に剥いて口に含みおもむろに岡田の唇に口付けた。