う~ん…どうしよう?
横になったほうが疲れがとれるよね?
でも私じゃ運べないし…。
とりあえずこのままで何かかけるようなもの、あるかな?

寝室の場所は知っているけれど、本人がいないのに入るのはためらわれる。
と、ソファの背もたれに薄手のタオルケットが置かれているのを見つけた。

今治のタグがついている草木の色のタオルケット。
たまにソファで寝るときとかに使ってるのかな?持ち上げると彼の匂いがした。

それを寝ている彼にそっとかける。
起こさないようにそーっとしたつもりが、風がおこって彼の前髪がフワッとなびく。
すっと通った鼻筋から続く広めのおでこがにょっとのぞいた。

岡「…ん…」

起きちゃった?大丈夫?

息をころしてじっと見つめる。

大丈夫みたい。

だけど大丈夫じゃなくなる私。

だって…きれいなんだもん。

いつもは彼の目力に押されて恥ずかしくてじっかりなんな見れないんだもん。
今なら…好きなだけ見れるね\(///)

いつも静かな力を感じさせる彼の目が伏せられてると雰囲気が違ってみえる。
なんだろ?なんかこう…触ってみたくなるような…。

気付いたらもう触っていた。

柔らかそうに見えるけど、硬めの前髪。サラサラなんだけどコシがあるっていうか。

サラサラ、サラサラ。

少しかきあげて指を離すとハラハラと額にかかる。

サラサラ、サラサラ、ハラハラ、ハラハラ。

何度も繰り返す。

岡「……」

くすぐったかったのか、彼が前髪をかきあげた。

起きてはいないよう。

ホッとして小さく息を吐く。

そしてかきあげた手に視線がいった。

膝に置かれたその手をそっと撫でてみる。
しっかりとした男の人の手。
ゴツゴツしてそうなのに滑らかなんだね。
細く長い指を一本持ち上げる。
格闘技の練習するようになってから手のひらが硬くなったって言ってたよね。
そして手を持ちあげて自分の手を滑り込ませた。

指を絡めて握った手。
見てたら…心臓がドキンドキンと騒ぎ出した。