大好きな彼の手が私のおでこにのっかる。
熱はないけど顔がドンドン赤くなっていってるはず。

「あのね…iPod nano持ってるんだけど…」

突然脈絡のなし話をはじめた私を見つめ続ける彼。

「最近使えないの。」

黙って私が話すのを待っていてくれてる。

「その…イヤホン使うと耳元で岡田さんに歌われているような気がしちゃって…ド、ドキドキしちゃうからなの。」

彼はそのきれいな目をパチパチと瞬かせた。

「さっきも…あの、食洗機のとこですごく近くから話されたからドキドキしちゃって…」

岡「ドキドキすると鳥肌がたつの?」

そんな不思議そうな顔できかれたって…だって私はそうなんだもん、しょうがないじゃん。

「…そう。」

岡「…じゃあ本当に具合が悪いわけじゃないんだね?」

寝かされていたソファから起き上がってすわり、

「うん。元気だよ。」

と力こぶ(出来てないけど・笑)をつくって元気をアピールしてみた。

そう答えたら彼は大きく息を吐いて

「よかった…」

と前髪をかきあげた。

広めのおでこがふわっと見えた。
サラサラな前髪をきれいな指が通っていく。
伏せ目がちになってるところに前髪か落ちてきて色っぽすぎる。

無言で真っ赤になった私の隣に彼が座った。

ゆったりと座った重みでソファが少し揺れる。
その揺れに合わせて私と彼の肩が触れる。

彼の右手が私の肩をそっと抱き寄せた。
彼の右肩に頬がふれる。
熱い体。

私の左耳に彼の吐息。

「さっき敬語使ったよね?」

うわぁっ!また鳥肌たっちゃったじゃん!

「…本当だ。」

彼は私の鳥肌がたった腕をみておかしそうにつぶやいた。

「一回だよ(笑)?」

何のこと?いつのこと?
耳元で囁かれ続けて頭がまわらない。

「本、貸すってとき。お借りしますって。」

えーっ⁈そうだっけ⁈そう言われるとそんな気もするけど、だってそのときは何にも言わなかったのにーっ。