広く逞しくて包まれると安心してしまう彼の胸。
彼の匂いを知ったのは数日前だとういのに、すっかり覚えてしまった彼の匂い。
すっかり動けなくなり、ただ彼に抱きしめられている私。

なんだけど、彼の体が小刻みに震えてる?
地震なわけじゃなく、彼自身が震えてる?

「…くっくっくっ。」

笑ってる~(°_°)
見上げた私の視線に気づいた彼が私の目をみて蕩けるような笑みを浮かべた。

「付き合ってまだ数日なのに、○○には本当に面白いなぁ」
って…。

「だって彼女が去って行くのを見送るときの瞬きとか、本当切なすぎて!最後の涙なんてもうもう彼女憎しっ!って思っちゃったから!私だったら絶対泣かせたりしないって思ったし!…はっ∑(゚Д゚)」

なんて図々しいことを熱弁しちゃってたの~((((;゚Д゚)))))))
痛い女一直線だわ>_<

「だいたい岡田さんの演技力が半端ないから…」

と、彼が私の首筋に顔をうめ、囁いた。

「褒め言葉。ありがとう」

一気に赤面する私を彼は自分の膝の上に乗せた。
そしてあらためて私を抱きしめた。
決して痩せてはいない私だけど、
彼に抱きしめられるとなんだか華奢な女の子になったような気がする。その鍛え抜かれた体が服越しとはいえ触れてくるわけで…。
なんかもう頭の中花火大会状態。

プラプラしてる私の両手は…彼を抱きしめてもいいものなのか。抱きしめるとしたなら手の位置は?
背中?首?腰?
どこにしても鼻血出ちゃうかも…。

そんな私の葛藤を知ってか、彼は私の手をとって自分の首にまわした。

「PVの彼女とは違って俺を泣かせないでくれるんでしょ(笑)?」

熱い吐息とともに囁かれる言葉。
彼の低音に私の耳はめちゃくちゃ弱いのに~/////。

「絶対絶対泣かせたりしない!」

「…くすっ。それって普通俺が言うことだよね?」

はっ!そういえばそうだ。・°°・(>_<)・°°・。

彼の前では少しでもかわいい女でありたいのに…。

「○○…」

呼ばれて顔を上げると彼が私を見つめていた。

ふわりと香る彼の匂いはうちのコーヒーの匂いと混ざりますますドキドキ。

鼻と鼻がぶつかりそうなぐらい近くまできた彼の顔。
本当ーっにきれいでずぅっと見ていたいけど…目を閉じた。

ゆっくりと唇が離れた音がちょっといやらしい。
こんな時間だし、こんな状態だし、私だっていい年した大人だし、でも付き合い出したばかりだし…なんてまたもやグルグルしてたら

「これ以上いたらちょっとやばいから帰るね。」

と彼が言った。
じーっと彼が見つめるので私も負けずに見返していたら

「残念?」って!

そりゃ残念じゃないと言えば嘘になるけど!
付き合いだしたばかりでそんなのはやっぱりちょっと抵抗あるような…。やっぱり準備がさ…。

「…なんて残念なのは俺のほうだよ」

と言いながら頬にキスを落とした。

帰っていく彼を見送りながら
私はもっともっと彼に相応しくなりたい!と強く思った。

終わり