十六歳のアメリカ ベースボール 三二、勝負はこれから 130 | 六月の虫のブログ

六月の虫のブログ

ブログの説明を入力します。

 夏休みに入る前の最後の日曜日、ミスターZの提案で大リーグの試合を観に行くことになった。チームメイトの多くが、この大リーグ観戦ツアーに参加した。これはミスターZが、大リーグを生で観たことのないボクのために企画してくれたものだった。大きなバン二台で、シカゴにあるカブスの本拠地、リグリー・フィールドを目指した。球場に入ると、まずその美しさに感動した。球場の外野のフェンスは蔓状の植物で覆われていた。外野、内野とも天然の芝生の緑が映えていた。観客も非常にリラックスしていて、良いプレーが出ると敵味方関係なく声援を送る。子供たちは、ひいきのチームの帽子をかぶり、グローブを手にはめて観戦している。子供たちの目当ては、観客席に飛んでくるボールを取ることだ。観客席に飛んできたボールは、ファウルボールでもホームラン・ボールでも、ボールを取った者が家に持ち帰ることができる。

 我々はピーナッツやホットドッグをかじりながら、ゲームに見入っていた。ボクの周りには、三人の解説者が座っていた。ハイランド、ゲイリーとジョンソンだ。彼らは、各々のプレーヤーについて、詳しく説明してくれた。五回が過ぎた頃、球場内に「カンカキーにあるマクナマラ高校のベースボール・チームがゲーム観戦に訪れています」というアナウンスが流れた。みんな驚いたが、これもミスターZのはからいだった。

 七回に入ると、「皆さん立って、背伸びしましょう」というアナウンスが流れ、皆が立ち上がった。そして、『ボール・ゲームに連れてって』 (”Take Me Out to the Ball Game”) という曲が演奏された。すると、観客全員がエレクトーンの演奏に合わせて歌い出した。当時、カブスのテレビ中継のアナウンサーとして有名だったハリー・キリーも、マイクを持って放送席から身を乗り出して『ボール・ゲームに連れてって』を歌っている。歌が終わると、ジョンソンがボクに、「これを歌うのが楽しみで、球場に来るファンもいるんだ」と教えてくれた。

 ゲームはカブスがドジャーズに勝った。このツアーに便乗したカブスの熱狂的なファンのサヴェラ神父 (Father Savela) は、上機嫌だった。大リーグのゲームを観戦して、ボクはますますアメリカが好きになった。

 余談だが、リグリー・フィールドからの帰り、頭から血を流した男が我々のバンの横を走り去った。その後を警官が追い、警官が我々のバンを通り過ぎて間もなく、銃声がした。これもアメリカなのだ。

image1.JPG

観戦に行ったカブス対ドジャーズの試合。