トラウマのメカニズムの一端を解明か

■PTSD治療につながるか

　英科学誌Natureに面白い論文が発表された。日本人研究者がマウスの研究で「トラウマのメカニズムの一端を解明」したと発表したのだ。

　生物は（人間を含めて）トラウマに晒されている。トラウマの傷は脳の前頭前野に保存されているとされているが、この部分は複雑な部位のため、トラウマの記憶だけをとり出すことは困難とされてきた。

　今回の研究は、マウスでこの部分に電気信号を送り、同じ信号で「トラウマ信号」を捉えることが出来るかどうかの実験のようだ。そして、トラウマのメカニズムの一端を捉えることが出来るようになったというもの。

　
　
　

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トラウマのメカニズム、一端を解明　PTSD治療につながる可能性

10/6(金) 18:00配信
毎日新聞

マウスを使ってトラウマ前後の神経細胞の活動を調べる実験

　忘れたくても忘れられないつらい経験は、どのように脳内に記憶されるのか。大学共同利用機関法人「自然科学研究機構」の生理学研究所の揚妻（あげつま）正和准教授（システム神経生理学）らが、マウスの脳でトラウマの記憶に関する仕組みの一端を解明したと発表した。

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　トラウマを含む記憶は、情報処理や感情制御など多様な精神活動をつかさどる脳の「前頭前野」で保たれている。複雑な構造のため、これまでは、トラウマになる経験をした前後に、関係する神経細胞の反応を解析するのが困難だった。

　揚妻さんらは次のような実験をして、この反応を解析しようとした。

　まず、マウスにトラウマを経験させた。本来、マウスにとって無害な音を聞かせながら微弱な電気を流すと、電気がトラウマの引き金となり、その後は音だけでも体をすくませる「恐怖反応」を示すようになる。この恐怖反応を利用し、トラウマ体験の前後の脳の働きを解析した。

　その結果、揚妻さんらによると、恐怖反応を強く示した時のマウスの前頭前野で、トラウマ体験前にはなかった新しい神経回路を確認した。電気を流されている時に強く反応する細胞群が中心となり、無関係だったはずの音に反応する細胞群と結び付いて、記憶を形成していたことも確かめたという。

　こうした経緯から、恐怖反応を示す時に強く反応する細胞群を特定する方法を確立したとしている。

　揚妻さんは「トラウマに関わる細胞の働きを抑制する技術に発展できれば、前頭前野に関連する心的外傷後ストレス障害（PTSD）などの精神疾患の治療につながる可能性がある」と話した。今後もマウスを使った実験を続けていくという。

　成果は6日、英科学誌「Nature　Communications」に掲載された。【高橋由衣】

https://news.yahoo.co.jp/articles/66dd951aa7edcfacae959bc16081c194da1360af
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■トラウマの信号記憶を捉えられれば

　この実験が研究を深めて、マウスだけでなく「人間に応用」出来れば､画期的なことだろう。
　トラウマによって「心の傷」を負った人間は多い。その「トラウマ」のために、本来の能力を発揮できていない人も多いはずだ。あるいは、その「トラウマ」が原因で立ち直れない人生を送っている人も多いだろう｡
　PTSDの治療にも役立つかもしれない。結局PTSDなどは「トラウマ」が原因で傷ついて、立ち直れないわけだから、それが治療できるのなら「画期的な研究」となるはずである。

　いつの日か、実現することを夢見ておこう。

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