AIR NEWアルバム 「A Day In The Life」 | FOUR EASY PEACES

AIR NEWアルバム 「A Day In The Life」

遂に発売されたAIRのNEWアルバム、「A Day In The Life」。

自分なりに稚拙な感想を書いてみましたので、宜しければ読んで

やって下さい。

AIR
A Day In The Life

1曲目「Greetings From K」

アコギを軽やかにかき鳴らし、音色を確認した後、静かに歌いだす

ことにより、このアルバムは始まる。


歌とギターの弾き語りの後に、絶妙なタイミングで入りこんでくる

4つ打ちのキック音。

堪らない。

最高のスタートだと思う。

この最初の1分間だけで、AIRは僕らに、優しく、

元気に過ごしていたことを告げてくれる。


そして、この自然体で、軽やかな感覚はアルバム全体に

貫かれている。

メロディの起伏は少なく、地味に聞こえるが、等身大の

車谷浩司を感じることができて、僕は一聴して気に入った。


比較的アッパーな2、3曲目を経て、

4曲目の「海へ行く」

一歩間違えれば、財津和夫か、南こうせつかという、フォーク調の

メロディを、今的なアレンジで、ギリギリうまくベタさを避けて歌いあげる

ことに成功している。


AIRは今までも、「Today」や、「Crawl」等で、日本的メロディー

が見え隠れする事があったが、この曲はその一面が最も良く

出ている名曲だと思う。


スパイラルが洋楽へのオマージュで塗り固められていた事を

考えると、車谷浩司がここまで遠い地点にきたのは、長年見守って

きたファンからすると感慨深い。


7曲目の「FULL MOON」では、すわっソウルセットか?

というバックトラックに、ポエトリー調のボーカル(ビッケ風(笑))

を乗せている。

まあ、当然、ソウルセットの境地には達していないけど(笑)、

アルバムの中の、大事なアクセントになっていると思う。


そして今までの、AIRファンが最も気に入ると思われる

ラスト「Sleep Well」

出だしのメロはFOGGSバージョンの「GARDEN」に激似しているが、

シューゲを感じさせる曲調、カオティックに終わる構成もハマって

いて、キャリア屈指の名曲に仕上がっている。

やはり兄さんには、この様なシューゲイザー風のトラックが

似合い過ぎる。


以上、簡単に、レビューさせて頂きましたが、まあ地味渋な

アルバムです。

スルメ曲が多すぎるので、もう少しキャッチーな曲があっても

いいと思うけど、今の兄さんにそれを期待するのは、

違うのかとも思ったり。


でもこれ正直、売れないと思っちゃいました(笑)


只、このアルバムを聴いて思ったのは、もう今の兄さんに迷いは

ないということ。

今まで影があるのが、いい意味で作品に出ていて、それが大きな

魅力だったけど(Usual~は今でも僕のベストアルバムの一つだ)、

もうこのアルバムにその影はない。

あるのは力強い声で、しっかりと前向きな歌詞を歌いあげる34歳の

一人の男の姿だ。


10年間、作品を出す度に激しくスタイルを変えて試行錯誤していた

兄さんがここに来て、歌に原点回帰したのは、きっと(やっと)人間的に

強くなったんだと思う。

今の兄さんは、もう人見知りのふりはしないし、さあねとぼやかしたり

しないだろう。

しっかりと地に足をつけて、「「A Day In The Life」を生きている様に感じる。


僕もいつかはそんな人になりたいし、なれるように頑張ろうと思った。

そんな(自分的には)突き動かされた一枚。


やっぱり、車谷浩司はいつになっても、僕の心を摑まえて離さない(笑)


(後、スタイルは色々変えてきた兄さんが、この10年間、ベースの

 渡辺等さん、ドラムの佐野さんとずっと、演り続けているのは、

 何気に感動的な事だと思う)