
■史上初、"健常者"の大会に出場
両脚義足のスプリンター、オスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)。
2011年8月28日(今日)、世界陸上400m一次予選に出場します。
■その功績
北京パラリンピックで100m、200m、400m金メダル三冠を達成。
両足切断者 世界記録保持者。
■モットー
"You're not disabled by the disabilities you have, you are able by the abilities you have."
(障害によって不可能なのではなく、持っている能力によって可能なのだ。)
■バックグラウンド
先天的に両足のすねの骨が無い難病、
1歳までに両足を切断する手術。
■ランナーを支える義足
アイスランドの義肢メーカー「オズール」社製の義足。
このメーカーの理念
「Live A Life Without Limitations」
制限のない生き方を実現する、というようなニュアンスです。
http://www.ossur.jp/
オズール社とピストリウス選手の活躍が、
多くの人に勇気を与えるでしょう。
■「炭素繊維」という素材
ちなみにピストリウス選手の義足は
炭素繊維(カーボンファイバー)素材でできています。
炭素繊維(カーボンファイバー):
鉄に比べて重さが4分の1、
強度は10倍。
剛性は7倍という優れた素材。
様々なものに利用される。
ゴルフシャフト、
釣竿
テニスラケット
風車
自動車のボンネット
パソコン
レントゲン機器
車椅子
人工衛星
■ほとんどが日本製
炭素繊維(カーボンファイバー)
主流のPAN系炭素繊維は、
70%のシェアを日本の3社。
・東レ(34%)
・東邦テナックス(19%)
・三菱レイヨン(16%)
(2008)
■ボーイング787の半分は、炭素でできています。
ジェット機「ボーイング787」
構造材の約50%が炭素繊維。
にも関わらず、カーボンの重さは全体の1%に過ぎない。
軽量化により燃費が2割改善。
■市場拡大
炭素繊維の市場は
今年以降も、年15~20%拡大していく。
(日経新聞)
■科学とメーカーが走者を支え、
走者は人々を勇気づける
▼僕のイメージ図

オスカー・ピストリウス選手は1986年生まれと、
僕の同い年です。
たまたま昨日の新聞のスポーツ欄で見かけて、
気になったので 調べてみたのでした。
・彼のあくなき挑戦に勇気づけられると共に、
・それを支えた義肢メーカーの功績、
・炭素繊維という素材のおどろくべき有用性を再認識しています。
■黒板の上ではわからない本質
理科の授業で「炭素」と聞くと
もう退屈な印象しかないですが、
こうした場面に注目すると、
「そうか、こんな所で炭素繊維が貢献してるのか!」
科学技術の本質のようなものが感じられました。
科学技術が、一人のランナーの走りをサポートし、
そのランナーは 世界中の多くの人々を勇気づけると思います。