医師として10年以上、保険診療・自由診療を問わず多くの医師を見てきました。その経験から感じていることを、あえて率直に書いてみたいと思います。


これは自由診療に限らず、保険診療(一般的な内科や外科など)も含めた医療全体の話です。

 

「専門医は上手いのか?」

この問いに対して、私はこう考えています。

専門医資格は、知識や技術の“秀逸性”を証明するものではありません。


専門医=名医、という単純な図式は成り立ちませんし、卓越した技量や特別なセンスまで保証してくれる資格ではありません。

しかし一方で、専門医資格は“標準性”の証明にはなります。

 

ここでいう標準性とは、一定の研修過程を修め、症例経験を積み、学会の定めた基準を満たしているということです。
つまり「最低限クリアすべき水準を超えている可能性が高い」という意味での担保になります。

 

厳しい言い方をすれば、非専門医はその標準水準に達していない可能性が、専門医より高いと言えます。
もちろん、非専門医の中にも標準レベルに達している医師はいます。


ただし、その割合や再現性という点で見ると、専門医のほうが安定していると言わざるを得ません。

 

もし自分が、自由診療に限らず病気の治療も含めて医療を受ける患者の立場だったらどうするか。


専門医を基準に選んだからといって、「大当たり」を引ける保証はありません。
しかし、「大外れ」を引く確率は相対的に低くなります。

 

一方、非専門医の中にも標準水準の医師は存在しますが、そうでない可能性も含めて幅があります。
結果として、リスクの振れ幅が大きくなります。

 

医療は本来、博打であってはなりません。
患者にとって重要なのは、突出した才能に賭けることよりも、致命的なリスクを避けることです。

 

専門医資格は才能の証明ではありません。
しかし、標準的な医療を安定して提供できる可能性が高いという意味で、現実的なフィルターにはなります。

 

医療の現場を長く見てきた実感として言えるのは、
「専門医は万能ではない。しかし、軽視できる指標でもない」ということです。

 

当たりを狙うより、外れを避ける。
その発想のほうが、医療選択としては合理的なのではないかと思います。