ただ、
散っていく。
沈んでいく。
全てを包む静寂の中。
そうしていつの間にか、何もかも消え失せる。
ただ一人、いや、ただ一つ?
残っているのは彼だけだった。
何もない、ただ真っ白い世界。
どこを見てもただの白。
彼は足を動かしてみた。
歩く。
前に進む。
止まる理由も見つからず、ただ、際限なく。
ここはどこで、どうして自分はここにいるのか?
ひたすら白い世界を歩きながら、彼は誰ともなしに尋ねる。
応えるものはいない。
それきり考えることすら放棄して、彼はただ歩き続けた。
しかしやがて、彼は気付く。
ここはどこでもない。
世界が滅びたのではなく、
彼がただ一人生き残ったのではなく、
ただ、
自分一人が死んだだけなのだと。