「関西マグネットさん、力を貸してくださいませんか?」
約7年前、大阪のある喫茶店で、近段審のスタッフさんに言われた一言。
これが昨日のことのように思い出されます。
関西バトルロイヤル、通称KBRに
第一回から参加した関西の女子麻雀サークル「関西マグネット」。
「Mリーグが始まるので、関西も同じように競技麻雀、特に団体戦を盛り上げていきたいのです!」
「この団体リーグ戦は初めての試みなので、今後どうなるかわかりません。
ですが、ぜひ関西マグネットさんのお力をいただいて、大会に華を添えてほしいのです!」
当時の関西マグネットの代表とその話を聞いて、少し悩みました。
なぜなら、関西マグネットは、「競技麻雀の向上を重んじるサークルではないから」です。
あくまで麻雀を嗜む女子(初心者から中級者まで)が、楽しく麻雀活動することを目的としています。
「関西マグネットのメンバーに出てみたいか聞いてみて、
メンバーが揃えば参加させていただきたいです。」
実際、関西マグネットのメンバーに話を投げてみると、「参加してみたい」との声が!
そして、関西マグネットが、関西の団体リーグ戦に参加することになったのです。
そこから毎年のように参加させていただくことになりました。
最初は、メンバー皆、競技麻雀に慣れておらず、色々ありました・・・
予想通り成績も振るわず、苦戦。
しかし、当時、私は、忙しいマグネット代表に変わってこのチームの先頭に立ち、
「麻雀の課題は各々が見つけて自身で解決していくこと」そして「麻雀を楽しむこと」を
意識してもらうことをメンバーに伝え続けました。
勿論、競技麻雀において「勝ちを目指す」ことは当たり前のことですが、
このリーグ戦の参加をきっかけに、
「競技麻雀の楽しさを知ってほしい」
「競技麻雀を志す上での経験値を得てほしい」
「関西の競技麻雀熱を盛り上げよう」
そして、関西マグネットは「チームの輪」を大事にしていました。
仲間が負けて落ち込んでいたら励ます!
仲間が勝ったら自分ごとのように喜び合う!
このマグネットの雰囲気が他にも伝われば、「関西マグネットがKBRに貢献していることになる」
と私は感じていたからです。
7チームからスタートした関西の団体リーグ戦は、「KBR」と言われるようになり、
今では27チーム200名以上の方が参加する大きな関西の大会になりました。
他の地域でも、競技麻雀において「団体戦」というものが定着しつつあります。
その光景を目にし、私は「KBRにおける関西マグネットの役目は終わったかな」と感じました。
参加するマグネットチームのメンバーもそれぞれ勝ちたい麻雀大会が増え、
対局当日に十分にメンバーが揃わなくなってきました。
そして、私自身も環境や心情も変わりました。
「チームを引っ張って、監督をするのはもう限界かな・・・」
<試合に出たい人が出たらいいと思うよ!私はあくまで補欠要員でいいから!>
あくまでチームやサークルのことだけを考えていた私は、いつしか”監督”と言われるようになりました。
”監督”・・・最初はあだ名程度と思っていましたが、いつしかその言葉がプレッシャーになっていました。
私自身、心の病気で1〜2年間ほど思うようにKBRに出られない時期がありました。
その時に、"監督なのになんで現場に行けないんだ"と悔しかった気持ちは今でも忘れられません。
「今年2024年で、関西マグネットとしてKBRに出るのは最後にしよう!」
そうチームのグループLINEで決めた時に、私も心の中に決めたことがありました。
<たとえ自分が出なくても、毎節KBRの現場には行く!>
<私はあくまで人数調整や登板オーダーを決めるだけで、あとは選手の自主性に任せよう!>
そうやってスタートした2024年のKBR・・・
序盤は好調な滑り出しでしたが、どこかで歯車が狂ったように後半は大失速。
かねてから私は「デス観戦になるから」と冗談まじりに言って、あまり選手の後ろ見はしませんでした。
それはあくまで、選手に自由演技をしてほしいため、
選手にプレッシャーになるようなことはしたくなかったんです。
ですが、チームの不調にさすがに後ろ見をしていた時もありました。
私が見る限り、チームの皆、本当にツイていない・・・
<え、親番で何この配牌??ツモもきかへんな・・・>
<なんで一発でその牌を掴むの??>
麻雀ではよくある光景かもしれませんが、あまりにしんどい偶然が続き過ぎていると感じました。
満を持して私自身も対局に臨みましたが、気合とは裏腹に全然チームに貢献できない・・・
Next2ステージでも、マイナスポイントを重ねていく一方・・・
周りのチームからは「どうしたん?マグネット???」と心配されるほど。
その声が私の耳には本当に痛かったのですが、ある時ふと気づきました。
<どうした?と心配されるほど、マグネットはこの6年で成長したんだな・・・>
思えば、第一回の関西マグネットの成績もダメでした。
<そりゃそうだよね。彼女たちは競技麻雀慣れしてないもん・・・>
実際にその声は聞こえてはいないですが、どこか納得感がある雰囲気がありました。
しかし、近年、KBRに参加する方々から
「関西マグネットはみんな強いもんなー!」という声をいただくようになりました。
選手が個々にいろんな麻雀大会に出て、優秀な成績を残していったため、
いつしか期待されるチームとなっていったのです。
単なる”盛り上げ役”から、”ライバル”として見られていることに気づいた時、
私はマグネットのチームメンバーを誇らしく思いました。
Next2最終節・・・チームは+500Pしないとサバイバルステージすら行けない中、
各々の予定や体調不良、色んな要因でメンバーを集めることすらも危機的状況に。
このままだと黒子をお願いすることになる。黒子だけは避けてきたこの6年間。
<絶対、関西マグネットのメンバーで終わりたい>と思い、他の関西マグネットの仲間を緊急招集。
新戦力、そしてかつて一緒に戦った仲間が駆けつけてくれて、なんとか黒子要請なしで当日を迎えました。
私は1戦目と3戦目に出場。
3戦目・・・3着目で迎えたオーラス。
点数的にトップや2着は無理だということで、3着キープと思っていた矢先、
トップ目の親がツモ切りリーチ。
親に放銃するとおそらくラス確定。テンパイノーテンではラスに落ちない。
ラス目は必ず押してくるけど河的には明らかに速度は遅そう。私はオリを選択した。
最後の一巡、完全安全牌が尽きた。通りそうな牌は2種類ある。
ワンチャンスの無筋の4枚目の1ソーか、後筋になった手牌に2枚ある⑦ピン。
時間切れになっていたので少考の時間をいただいた。
ツモ切りリーチの意味を考える・・・手役の可能性は・・・4枚目の2ソーはどこ・・・
約30秒〜1分の長考後、⑦ピンを選択。
場の状況的にどう考えても4枚目の2ソーは親の手牌にありそう(じゃなきゃワンパイ)。
⑦ピンであった時、手役があまりなさそう(手役があるならトップ目だからダマテン)。
チートイツはほぼなし(自身で2枚持ち、ダマテンにするでしょ)。
なんせ、思い立ってリーチする割には待ちが悪すぎる。
以上の思考をうわ〜って巡らせて、⑦ピンを切ると、
「ロン」とは言われず、流局・・・800点差でラス回避で対局終了。
「○○が電車の時間があると言って先に帰りました!私も先に帰りますね!」
「監督、お先に失礼します!」
チームのメンバーが先に帰り、最終結果を見届けたあと、私は雀荘を後にした。
目の前には、他のチームで出場していたマグネットの仲間の2人が笑い合う姿が。
その光景を見た瞬間、プツッと糸が切れた。
<終わったんだ・・・やっと解放されたんだな・・・>
そう思った瞬間、安堵から涙が止まらず、
そのままそのマグネットの仲間たちの元に行って泣きついた。
「プレッシャーだったんですね・・・代表お疲れ様でした!」
「よう頑張った〜じゅりぃちゃんお疲れ〜!」
”監督”と言われること、その仕事がプレッシャーではなかったかと言われると嘘になる。
正直6年もやってたらしんどかった時期は何度もあった。
でも、大好きな仲間たちと勝利の喜びを分かち合うためと思ったら、踏ん張れることができた。
その他チームのマグネットの仲間たちは、来期もそのチームから出るとか出ないとか。
その話をぼんやり聞いていて、私はしみじみこの6年間のKBRを振り返った。



他にもたくさんのマグネットの仲間がKBRで戦ってくれました。
この6年間、「関西マグネット」チームとして戦ってくれた全ての仲間に感謝です。
本当に本当にありがとう。
「関西マグネット」チームで戦った選手はきっと、来期からは
新しいチームで新しい仲間と共に、KBRを戦うことになるでしょう。
それは、関西マグネットの代表でもある私も望んでいることです。
マグネットの皆がそれぞれのコミュニティー、それぞれの環境で
関西の競技麻雀を盛り上げてくれることを、私は心から願っています。
これからも、ファイトだよー!!!でも無理はすんなよー!!!
これは「関西マグネット」チームの元監督から選手みんなへの最後のお願いです。
さて・・・ワイは・・・
来期のKBRは・・・初のFA宣言だな。笑
出たいと思うチームがあれば、「一選手」として参加したいと思います。たぶん。