時は2017年、μカップin神戸の本戦の頃にさかのぼる。
麻雀仲間のお姉さんに、こう誘われた。
「じゅりぃちゃん、ごーさんがμカップに出るよ。
観に行かない?」
でも当時の私は、競技麻雀を始めたばかり。
μのルールはほとんど知らなかった。
「ルールも分からない自分が行ったら邪魔になる」
そう思って、断ってしまった。
代わりに、こう誓った。
「来年はちゃんとルールを覚えて観に行けるように、競技麻雀をがんばろう」
——この決断を、後々ずっと後悔することになる。
翌2018年のμカップin神戸。
参加の選手名簿にごーさんの名前はなかった。
その年にMリーガーになったからだ。
「あの時、ルールが分からなくても、
μカップで打つごーさんを
目に焼き付けておけばよかった」
後悔しても、もう遅い。
その場で新しい誓いを立てた。
「もしまたいつか……
どんなに遠い未来でもいい。
ごーさんがμの公式戦に戻ってきたら、
その時は観戦じゃなくて、
同じ選手として大会に出よう!」
2020年の正月、
「今年こそμカップデビューするぞ!」と意気込んだ矢先、
コロナで自粛モードに。
さらに私自身が心の病をわずらい、
競技麻雀をしばらく休むことになった。
夢は、一度、遠ざかっていった。
μの公式戦デビューは、2023年のμカップin神戸。
でも、そこにも、ごーさんの姿はない。
本戦も3回打って、あっさり負け。
それでも私は、
出られるμの大会には片っ端から参加した。
モチベーションはただ一つ。
「いつか、ごーさんとμの公式戦で勝負したい。
そのためにひたすら経験を積むんだ!」
迎えた2026年。
μカップin大阪の予選2で、
4位通過で本戦進出を決めた。
「やったー!今年もμカップの本戦に出られる!」
——その時の私は、まだ何も気づいていなかった。
本戦の1週間前。一本のニュースが飛び込んでくる。
「小林剛、U-NEXTパイレーツと契約満了」
「……もしかして、ごーさん、
μの公式戦に戻ってくる……?」
後で聞いた話だが、契約満了とは関係なく、
ごーさんは今年から
μの公式戦に参戦する予定だったらしい。
それを知ってから、ずっとドキドキしていた。
「8年越しに、やっと夢が叶うかもしれない・・・」
本戦当日。朝から、心臓がもたない。
当日、私は集合5分前に到着した。
清水笑王が元気に「おはよう!」と
声をかけてくださって、
「朝から圧、すごいなw」とツッコんでいたら
その清水笑王の前に立ちはだかったのが
——なんと、あの小林剛。
「お、お、はようございます(小声)」。
わかりやすく態度が変わった私であるw
大会前、雀サク様の生配信で選手の挨拶がある。
いつもはカメラに慣れている私が、
その時はほとんどカメラ目線をしなかった。
理由は単純。
目線の先に、小林剛プロがいたから。
はい、それだけですw
対局は厳しい展開になった。
1回戦、オーラスに2着→4着への放銃。
2回戦、親の勝負手はオナテンで引き負け。
挙句に、親へハネマン放銃。
4回戦に進むには、3回戦で7万点超えトップが条件。
ただでさえ一発・裏ドラありでも難しいのに、
よりによって一発・裏ドラなしのμカップルールだ。
「厳しいけど、最後までやるしかない」。
そう思って席に着くと
——奇しくも、小林剛プロと同卓になった。
小林剛プロとはエンジョイ大会で
何度も何度も同卓してきた。
でも今回は、心境がまったく違う。
場決めで、私の対面に小林剛プロが座った。
そしてその後ろには——
2017年のあの時、
「ごーさんの観戦に行こう」と誘ってくれた、
あのお姉さんが観戦に来ていた。
その光景だけで、もう泣きそうだった。
(いや、これを書いている今も、思い出して泣きそう・・・)
でも、ここは勝負の場所。
小林剛プロも5万点トップ条件。
今日の小林剛プロはゲストじゃない、一人の選手だ。
「憧れは捨てましょう」
どこかで聞いたあのセリフを何度も言い聞かせ、
「お願いします!」と対局が始まった。
7万点超えトップ。ほぼ不可能に近い条件だった。
でも、私の東場の親番が流れた南1局、
局面が大きく動いた。
配牌は、8種。
まだ27000〜28000点ほどだった私は、
役満を狙いに行った。
すると、国士無双13面張の一向聴。
発さえ引けば、13面張テンパイ。
上家が発を切った次のツモは中。
国士無双の発待ちテンパイだ。
危険かもしれない⑧ピンを手出し。
その1秒後、下家が発をツモ切り。
「ロン、32000」
あと15000点ほどで条件クリア。
とにかく早くラス親まで回そう。
南2局、小林剛プロの親番。ドラは③ピン。
私は5か6巡目に七対子、①ピン単騎リーチ。
ドラを待っている場合じゃない。
早く局を終わらせて
自分の親番の時間をなるべく増やすためだ。
すぐに小林剛プロから①ピンが出て、ロンあがり。
次局、7700をあがり、迎えた南4局オーラス。
リーチや仕掛けで親番をつなぐが、
あがりには結びつかず
——75400点のトップで終了。
7万点超えトップは達成。
あとは、お祈りするだけ。
……だが無情にも、
予想していたよりもボーダーが上がり、
3回戦で敗退となった。
3回戦終了後、μの方と談笑していた時、
実況解説ブースの安永さんから
「じゅんじゅん、役満の何あがったの?」と呼ばれ、
外から「国士無双!」と答えた。
——でも、その時の私は知らなかった。
そのやり取りの直前、
あの小林剛プロが配信の中で私の名前を出して、
7万点条件クリアしたことを褒めてくれていたことを。
帰宅して、そのやり取りを見て、私は、号泣した。
そもそも私は、
競技麻雀で褒められたことなんてほとんどなかった。
……あ、一度だけ、土田浩翔プロに
チートイツの手組みを褒めてもらったことがあった!
(あれもめちゃくちゃ嬉しかったw)
小林剛プロを追いかけて、もうすぐ10年。
一番憧れているプロに名指しで褒めてもらえたことが、本当に、本当に嬉しかった。
μカップにチャレンジし続けてよかった。
それ以前に、
麻雀を続けてきて本当によかったと心から思っている。
来月からは、いよいよμカップin神戸の予選が始まる。
また、あの本戦の舞台で、
ごーさんと真剣勝負ができるように、
これからも、精進していく。
次は、本戦に行って、
ごーさんにも勝って、8位以内の入賞をするぞ!!





