ここ最近ザックスがやってこない。
何かあったのかな?
心配する気持ちの中に、純粋にザックスの事が心配というものと、大切な存在だと言った人に対する嫉妬心とがうずまき、凄く気分が悪い。
なんだか最近おかしいんだ。ザックスの事が好きなのは間違いないんだけど、それだけじゃない感情が体の奥からせり上がってくる。
こんな黒い感情、私は知らないーーうそ、前に一度だけ初恋の人に感じた感情だ。
あの時は結局、お母さんに邪魔されて逃げられたけど、今回は逃がさない。
(逃がさない)
心の中で誰かが囁いている。
(お前は最後の我々の子孫だ。セトラという種族を未来永劫残すという事がお前の大切な役目だ。わかっているな?)
(何を言ってるの?)
いつもの星の囁きとは全く異なった、黒くてドロドロした囁きに、私は慄いた。
(本来はあやつは我々の最大の敵であるジェノバーー星を蝕むものだから、相手としてはよろしくないのだが、仕方がないだろう…前の人間よりは相性はよさそうだから。)
(……)
(あやつと交わり子を成せ。そして我々の復活の足掛かりを作るのエアリス。お前の本当の母も、その役目を担いあの気違いじみた男の言うことを聞き、お前というセトラとして優秀な子を成したのだ。お前も同じようにーー)
(嫌よ!私の仕事は星の言葉を聞き、民に伝える事ーー)
(ああそうだ。それも大切な事だ。しかしこのままでは種族は根絶やしになってしまうのだーーお前もそれは理解しているのだろう?)
(で、でも…)
(エアリス、可愛いエアリス。お前は私のために働いてはくれないのかい?)
(でも、ザックスには大切な人が…。)
(しかし、その存在も今は側には居らぬ。今がいい機会ではないか?)
(いい機会…?)
(今回は前とは違い、あやつを星に召すことは控えておいてやろう。いつまでもお前の側に置いておくがいい。そして出来るだけ数多くの子孫をーー!)
「やめてーっ!」
初めてだった。こんな悪意のある星の声を聞いたのは。
少し痛む頭を押さえ、椅子に腰掛ける。
違う…初めてじゃ…ない。
そう、星に言われて思い出した。初恋のあの人ーー。お母さんに邪魔されていなくなったんじゃないーー星がライフストリームに連れて行ったんだ。
彼は子孫繁栄のための駒になり得なかったから。私の秘密を知ってしまったからーー。
ザックスも?ううん、星は今回はしないと言った。でもーー。
ザックスには幸せになって欲しいのに。彼の大切な人との幸せな未来を、私の勝手な事情で奪ってしまっても許されるのだろうか?
ダメだよ、そんな事許されないよ。
でもーー。星の言葉というより私の気持ちが、彼を手放したくないと訴え始めてる。
どうしたらいいの?ねぇザックスーー
***
街にお花を売りに行った帰り、市場でザックスを見かけた。
久振りに見かけた彼は、全く別人の様に変わり果てた姿だった。
いつもはきちんと手入れされ後ろに流しつけている髪も落としたままで、服装も寝て起きたばかりという感じだ。
何があったんだろうか?
私は躊躇わずにザックスに声をかけた。
ザックスの大切な人がザックスの元を去ったらしい。といっても、彼から聞いた話だと、体調が思わしくなく一人で動けるわけではなく、信頼のおける人の元で療養することになったらしいけど。
星が言う通りチャンスなのかなぁ…でも、私はザックスの幸せそうな姿をみたいんだ。
それは、私と共に歩んでもきっと見ることは出来ない気がするの。
凄く残念な事だけど。
私は直接的な愛より、間接的な愛を彼には求めたいーー。
彼を私の人生に引きずり込むのは、やっぱりいけない事だと思うから…。
でも、たった一度でいいーー
私だけを見つめていて欲しいと思うのも本当の気持ち。
もしかしたら、この事で貴方の人生を大きく変えてしまうかもしれない。
でも、やっぱり…私…あなたの事が好きだから…、
ごめんね、ザックス。そして、ザックスの大切なあなた。
私は、ザックスの暖かい腕の中に誘われるようにもたれ掛かって行ったーー
2014/01/30
*後書き
ハハハ…やっぱりエロは無理でした。BLでも無理なのに、NCでなんて私にはかなり高いハードルでした。
実際は星はそんなことエアリスに頼んだりしないよねw
でもさ、最後のセトラ。遺伝子残したいっていうのは自然の摂理なのでは?と考えて、こういう話を書きました。
ジェノバとセトラって組み合ったらどうなるんだ?
そもそもソルジャーになるための施術受けていて、子ども授かるのか?
これはあくまでも私の勝手な推論なのですが、ジェノバ細胞を入れるということは、遺伝子書き換えなわけで、iPS細胞とかの万能細胞だったら大丈夫だろうけど、遺伝子書き換えするって事は、何処かに不都合があらわれるのではないでしょうか?
そこはやはり一番影響受けそうな、生殖機能なのではないかと。
更に、その上に魔晄まで浴びているわけで(現実世界では放射能?)。
そんな色々なことから、子どもは出来ないと思っており、私の書くお話の中では何度かそれらしき描写を書いております。
勿論、このお話のエアリスはその事実は知りません。ザックスは知っていますが。
しかし、そう言う事を除いてもザックスはエアリスの手を取り一線を越えてしまいました。
クラウドを裏切ってしまったわけですが、さてこのあとどういう風に展開すべきなのか、書いている私もわかっていません←オイッ
次の話は数年経過したところから始まります。