菅首相は、福島第一原子力発電所の事故に関して、事故の収束のめどがつくまでの間、6月から首相としての歳費を返上したいと述べたというネットニュースが流れた。

原発の事故で多くの人が甚大な被害を受けた事を考えれば当然という見方もあろうが、別に菅首相が勝手に作った原発が壊れたわけでもなく、国策として自民党政権のときから続いてきた原発の事故であり、これくらいで大丈夫だろうという想定を超えてしまったからこんなことになっている訳で、首相だけの責任ではない。

これとは別に、今回の震災復興の財源を確保する為の手段の一つとして、国家公務員の給与の10パーセント削減も提案しているようだが、これもまた国家公務員がこの事故を起こしたわけでもなく、役所がサボったから想定できない訳でなく、大きな想定には予算がかかるし緩すぎても危ないしと、政治決断あっての想定である。

財源を考える上でまず、国会議員の歳費(給料)を20パーセント下げるなんていう事を提案する発想はなかったのだろうか。

国会議員の歳費は月130万円位らしいが、これとは別に期末手当も600万円ほどあり、文書通信交通滞在費という非課税の収入が月100万円ある上に、政党からも数十万円これまた非課税で立法事務費がもらえて、すっごく単純に考えれば350万円くらいの月収になるが、20パーセントの歳費オフで26万円収入が減るだけである。

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こういう正面収入とは別に講演の謝礼なんていう副収入もあるだろうし、国会議員のえらい先生だとほんの少しこの講演を増やすだけで、収入減を簡単に補えるだろう。

法律を決める権限がある国会が、まず自分たちもここまで我慢するから下々(しもじも)もという発想が正常で、自分たちは無傷にしておいて僕(しもべ)である国家公務員の給料を下げる提案というのはどうなのだろう。

更に、公務員というのは税金で給料を貰っているのであり、地方公務員に触れないのも気になる。

まだ更に言えば、公務員のせいでこんな大震災が起こったわけでなく、この復興は国民全体の義務でもあろうから、国会議員は勿論、公務員や一般の会社の給料を一定期間一定の率で徴収するというあたりがど真ん中的結論だと思うのだがいかがであろうか。

国会や民主党内部では、それなら消費税のアップが手っ取り早いという意見や、消費税に関わりあった政党はろくなことがないなんていう意見も出るだろうし、全公務員はともかく一般の会社までだと有権者の政党への支持が落ちかねないという意見なんかも出るのだろう。

国会議員の歳費を下げるなんて提案して全会一致で否決されたら大変じゃないかみたいな計算もあるのだろうが、そんな中で弱いところに無理やりしわ寄せが行っているような気がする。

東京電力だって代表権を持つ8人の役員の報酬を全額返納すると言っているのに、国策として行なってきた原発政策の失敗を国会議員が取らなくてどうするんだろう。

しわ寄せ先の1つが総理だというのもどうかと思うが、国民と公務員と国会議員の信頼関係なんて地に落ちたと感じるニュースであった。


 ・・・おの・・・