観覧車の問題がときどき出題されています。
たとえば次のような問題ですが、①乗るハコのことをゴンドラという、②ゴンドラは時計回りに同じ間隔で回る、③時計でいうと短針が6時の位置から乗車し、12時の位置で一番高くなり、1周した6時の位置で降りる、ということはどの問題でもいちいち問題文では説明されておらず、観覧車に乗ったことがない小学生でも常識としてこういった点はおさえておく必要があります。
観覧車①(実践女子2022)
図1のような観覧車があり、18台のゴンドラが円のまわりに等間隔で設置されています。図2のように、ゴンドラは点Cを中心とする半径16mの円のまわりを一定の速さで移動し、12分かけて1周します。A地点に乗り場があり、ゴンドラはB地点を通過するときにもっとも高くなります。A地点とB地点の高さの比は1:9です。ただし、ゴンドラの大きさは考えないものとします。
太郎さんはあるゴンドラに乗り、花子さんはその3分20秒に別のゴンドラに乗りました。2人とも1周してゴンドラを降りました。
① B地点の高さは何mですか。
「A地点とB地点の高さの比は1:9」をそのまま使うと、この差の8がABなのでAC=4。これが16mだから、1は4m。
よって「B地点の高さ」は4m×9=36m
② 太郎さんが乗ったゴンドラと花子さんが乗ったゴンドラの間に、ゴンドラは何台ありますか。
「18台のゴンドラが円のまわりに等間隔で設置」されているから、ゴンドラとゴンドラの間隔は360°÷18=20°
ゴンドラは「12分かけて1周」するから、360°÷12分=毎分30°の速さで動く。つまりゴンドラの間隔は40秒ごと。
そして花子さんが乗ったゴンドラは、太郎さんが乗った「3分20秒」後なので、3分20秒÷40秒=5台うしろのゴンドラ。
よって「間に」あるゴンドラは4台
③ 太郎さんが乗ったゴンドラと花子さんが乗ったゴンドラの高さが同じになるのは、花子さんが乗ってから何分何秒後ですか。
よく考えてみるとわかるのですが「ゴンドラの高さが同じになる」とき、先に乗ったゴンドラ(右)が到着するまでの残り時間と、後から乗ったゴンドラ(左)が発車してからの時間とがちょうど同じになります。観覧車の問題ではこの点がポイントになることが多いようです。
「太郎さんが乗ったゴンドラと花子さんが乗ったゴンドラの高さが同じになる」のは、花子さんが乗ってからの時間=太郎さんがゴンドラを降りるまでの残り時間となるとき。ゴンドラは「12分かけて1周」すること、花子さんのゴンドラと太郎さんのゴンドラは「3分20秒」はなれていることから
(12分-3分20秒)÷2=4分20秒
よって4分20秒後
観覧車②(鎌倉女学院2019)
A、B、Cの3人が順に観覧車に乗りました。この観覧車は一定の速さで動いています。また、すべてのゴンドラは等間隔で、ゴンドラが最も低くなったときに乗り、1周したら降ります。
Aが乗ってから3分20秒後にBが乗りました。Bが乗った3分後に、AとBのゴンドラの高さが同じになりました。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ この観覧車は1周するのに何分何秒かかりますか。
「Aが乗ってから3分20秒後にBが乗り」、「Bが乗った3分後に、AとBのゴンドラの高さが同じに」なったことから、あと3分でAのゴンドラは到着する。
よって、3分+3分20秒+3分=9分20秒
CはBの5つ後ろのゴンドラに乗りました。AとBのゴンドラの高さが同じになった2分15秒後に、BとCのゴンドラの高さが同じになりました。
⑵ Cが乗ったのは、Bが乗ってから何分何秒後ですか。
「AとBのゴンドラの高さが同じになった」のは「Bが乗った3分後」(小問⑴)なので、これを足すと「BとCのゴンドラの高さが同じ」になったのはBが乗ってから5分15秒後。
ゴンドラは9分20秒で1周するので(小問⑴)Bはあと4分5秒で1周する。つまりCはこの4分5秒前にゴンドラに乗った。
よってCが乗ったのはBが乗ってから1分10秒後(=5分15秒-4分5秒)
⑶ この観覧車のゴンドラの数は全部で何台ですか。
「CはBの5つ後ろのゴンドラに」乗ったから、ゴンドラの間隔も5つ。この5つの間隔で1分10秒かかっているので、ゴンドラの間隔は70秒÷5=14秒。
1周するのに9分20秒かかるから
9分20秒÷14秒=40台
観覧車③(ドルトン東京2022)
図のようにゴンドラの中心が直径133mの円を描いて矢印の方向へ一定の速さでまわる観覧車があり、ちょうど30分間で1周します。ゴンドラの中心の高さは、乗車位置となる最も低いところを0m、最も高いところを133mとします。
⑴ 乗車して7分30秒後のゴンドラの中心の高さは何mか求めなさい。
このゴンドラは時計でいうと短針が6時の位置から乗車したあと「ちょうど30分間で1周」する。「乗車して7分30秒後」だと、30分÷7分30秒=4より、ゴンドラは全体の¼=90°まわった位置にある。時計でいうと9時の位置なので、直角二等辺三角形ができており、このとき高さは観覧車の半径と等しい。
よって 133÷2=66.5m
⑵ 乗車して11分15秒後のゴンドラの中心の高さは何mか求めなさい。ただし、必要ならば直角二等辺三角形の長い辺が短い辺の約1.4倍の長さであることを利用しなさい。
ゴンドラは「乗車して7分30秒後」に9時の位置(小問⑴)、乗車して15分後に12時の位置にくる(「ちょうど30分間で1周」するので)。問題文にある「乗車して11分15秒後」は、(7分15秒+15分)÷2=11分15秒より、この2つのちょうど真ん中(9時の位置から45°すすんだところ)にある。
ここで「直角二等辺三角形の長い辺が短い辺の約1.4倍の長さであること」を使うと
66.5m÷1.4=47.5m
だけ、9時の位置から高くなっているということなので
66.5m+47.5m=114m
⑶ 乗車してからゴンドラの高さが最初に100mになるのにかかる時間を求める方法を書きなさい。ただし、計算や答えは書かなくてもよい。
模範解答は公表されていないので以下は解答例の一つとなります。「計算や答えは書かなくてもよい」とあるように、計算すら書かなくてもよいということもヒントにすると(三角関数をまだ習っていない)小学生にはこの方法しかないはずですが。
縮尺1000分の1で、観覧車を直径13.3㎝の円としてコンパスで書き、高さ10㎝になるときの中心角(乗車した位置を0°として)を分度器ではかる。
ゴンドラは「ちょうど30分間で1周」するから、1800秒で360°、つまり5秒で1°動く。
よって、分度器ではかった中心角の数字を5倍することで、ゴンドラが高さ100mになるのにかかる秒数が求められる。