図形の移動 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

新傾向として水そう問題や通過算の問題でもへだたりグラフが活用されるようになってきているという話をしましたが、「図形の移動」の分野でも同じくへだたりグラフを使った問題が出てきています。
たとえば次の問題。

 

平らな床の上に正方形Aと正方形Bがあり、この2つの正方形が30㎝離れた2つの壁の間を一定の速さで往復し続けます。AとBは下の図のような状態から出発し、正方形Bは正方形Aの2倍の速さで動くものとします。

下のグラフは、2つの正方形が同時に動き始めてからの時間と、Aが出発した側の壁から正方形の対角線の交点までの距離の関係を表したものです。次の問いに答えなさい。(国府台女子2022・第二回)

⑴ 正方形Aの速さは毎秒何㎝ですか。

 

右矢印 グラフのタテの軸は「Aが出発した側の壁から…の距離」をあらわすので、0秒後に2㎝となっているグラフの方が正方形Aのもの。またその長さは「壁から正方形の対角線の交点までの距離」(以下「距離」と表記)をあらわしているので、正方形Aは一辺4㎝とわかる。

そして正方形Aは反対側の壁まで13秒で到達したことがグラフから読み取れ、この間にAは26㎝(=30-2-2)動いているから、その速さは毎秒2㎝

 

に入る数を求めなさい。


右矢印 「正方形Bは正方形Aの2倍の速さで動く」からBの速さは毎秒4㎝。0秒後に27㎝離れていたAとBが出会うのがア秒後なので、

 ア=27÷(2+4)=4.5秒後

に入る数を求めなさい。

 

右矢印 グラフより正方形Bは0秒後に29㎝となっているから、正方形Bは一辺2㎝とわかる。

また0秒後に29㎝のところにいたBが毎秒4㎝で14秒後。このときAは折り返して1秒たっているから、その場所は28-2=26㎝のところ。つまり14秒後にAとBは3㎝の距離がある。この3㎝を追いつくのに(速さが2倍の)Bは6㎝進む必要があるから、イは23

 

⑷ 2つの正方形の重なる部分の面積が7回目に2㎠になるのは何秒後ですか。

 

1回目と2回目はグラフから簡単にわかりますが、3回目からはグラフがごちゃごちゃしていてよくわからない。7回目の位置をうまくさがし当てられるかがポイントとなります。

なお小問ごとの受験生正答率は、⑴80ー50%、⑵50ー20%、⑶と⑷はいずれも20%以下だったとのことです(学校発表

 

右矢印 「2つの正方形の重なる部分の面積」が「2㎠になる」というのは(Bの高さ2㎝より)AB間が2㎝となるところ(=重なる部分のヨコの長さが1㎝となるところ)をさがせばよい。

そこでつぎのような表を作ってまずは全体像をつかむ。

   1行目…0秒後から21秒後まで

   2行目…Bが何㎝のところにあるか(29㎝~1㎝)

   3行目…Aが何㎝のところにあるか(2㎝~28㎝)

   ↘…グラフが右下がりのところ

   ↗…グラフが右上がりのところ

 

1回目と2回目

0秒後に27㎝離れていたのが4.5秒後に0㎝になるから、1回目に距離2㎝に近づくのは①の場所。そして7秒後にその距離が15㎝に開くから、2回目は②の場所。

3回目と4回目

7秒後から13秒後までAB間の距離は短くなっていき、13秒後に3㎝となる。また14秒後にも3㎝となるが、この1秒間でAとBの位置が入れ替わるので、距離2㎝になる時点がここに2回ある。つまり3回目と4回目は③④の場所にくる。

5回目と6回目

20秒後にまたAとBは出会う(距離ゼロになる)のでその前後に5回目(⑤)と6回目(⑥)がくる。

 

7回目

ということで「7回目に2㎠になる」のは、21秒後に11㎝離れていた距離がつぎに2㎝に近づくところをさがせばよいから、

 (11-2)÷(4+2)=1.5秒

より、21+1.5=22.5秒後 完了