以前の記事の続きです。
図1のように、直方体の容器がしきりによって2つの部分ア、イに分けられています。この容器には、給水管が1本ついており、一定の割合でアの部分に水をいれます。また、イの部分の底面には排水せんがあり、せんを開けると一定の割合で排水します。
いま、アの部分に水を入れ始め、しばらくしてから排水も始めました。図2は、アの部分に水を入れ始めてからの時間とアの部分の水の深さの関係を表したグラフです。仕切りの厚さは考えないものとします。このとき、次の問いに答えなさい。(和歌山信愛中2022)
⑴ 給水管から1分間に何㎤の水が給水されますか。
水そうグラフの読み取り問題では①グラフがどの部分の水の深さか、②いくつの給水管がどこの位置にあるかという点を確認することがまず重要になります。
これを正しくおさえたうえで(ここで間違えると全滅してしまう)、グラフから水そう図を書きます。
図2は「アの部分に水を入れ始めてからの時間とアの部分の水の深さの関係を表したグラフ」とあり、①アの部分の水深の変化をあらわしたグラフであり、②給水管は1つだけでアのうえにある。
これを水そう図にすると次のとおり。
水そう図は水そう(図1)を正面から見た図とし、タテには高さ、ヨコには底面積を記入すること、そして中にはかかった時間を記入することが大きな特長です。
はじめの5分間でアの部分が高さ5㎝になっているから、給水管(アのうえにある)からは高さが毎分1㎝あがるだけの量が給水されている。
アの部分は底面積180㎠なので、給水される量は 180㎠×1㎝=毎分180㎤
⑵ 排水せんから1分間に何㎤の水が排水されますか。
排水管のある水そう問題ではさらに③排水管がどこの位置にあるかという点を確認することが重要で、しかもこれが決定的に重要であることが多いです。
「しばらくしてから排水も始めました」とあるが、図2を見ると13分後以降の部分でグラフは変化しておらず(もしここで排水が始まっていたらグラフが途中でゆるやかになっていたはず)排水が始まったのは5分~13分の間(水そう図でいうと㋑の「8分」の部分)のどこかの時点だとわかる。
そこで排水が始まったあとの13分~27分のグラフで考える。
このとき底面積はア+イ、底面積の比はア:(ア+イ)=180:420=3:7。とすると高さの比は底面積の逆比で7:3。つまり底面積アのところ(仕切りのあるところ)で高さが毎分1㎝上がるなら、底面積ア+イのところ(仕切りのない上から4㎝のところ)だと高さは毎分³⁄₇㎝ずつ上がるはず。
しかし実際には14分で4㎝の上がり具合なので毎分²⁄₇㎝しか上がっていない。
これはこの差の毎分¹⁄₇㎝を高さとする量が排水されているから。
よって排水量は 420㎠×¹⁄₇㎝=60㎤
⑶ 排水を始めたのは、給水管から水を入れ始めてから何分後ですか。
こんどはグラフの5分~13分の平らな部分に注目する。
この部分では最初は毎分180㎤ずつたまり、排水(毎分60㎤)を始めたあとは毎分120㎤ずつ水がたまっていく。その全体の容量は1200㎤(=240㎠×5㎝)。これが合計8分でたまるような状況をつるかめ算で求めると、8分間のうち4分間で排水された(=4分後から排水が始まった)ことがわかる。
これは最初から数えると 5分+4分=9分後
⑷ 容器が満水になったところで、給水管を閉めました。排水せんから水が出なくなるのは、給水管を閉めてから何分後ですか。
本問最大のポイントですが、アのところは最後まで水が残ることに注意が必要です(問題文も「容器が空になる」という言い回しではなく、「排水せんから水が出なくなる」というものになっています)。
上から4㎝のところまでは毎分¹⁄₇㎝を高さとする量が排水されるから
4÷¹⁄₇=28分
仕切りがある深さ5㎝からあとは(イのところだけから)毎分60㎤が排水されるから
240×5÷60=20分
以上より、水が出なくなるのは給水管を閉めてから48分後