いまの算数教育の目標の一つは「日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力」を育成することだとされています(小学校学習指導要領(平成29年3月告示)算数編)。
ビジネス社会では論理的思考力や地頭力などの表現におきかえられ、ビジネスパーソンの基本スキルとしてやはり重要視されています。
中学入試で推理算の出題が今後ますます増えていくだろうと考えられるゆえんです。
今回取り上げるのは点数を当てる推理算ですが、まさに問題文にある情報を正しく整理し筋道を立てて考えていく力が必要になります。日頃から「筋道を立てて考察する力」を少しずつきたえておきたいものです。
図のような的に矢を3回射って、そのうち高い2回の点数の平均を最終得点とするゲームがあります。J子、G子、K子がこのゲームをしたところ、次のようになりました。
・的を外した人はいませんでした。
・3回のうち2回以上同じ点数を取った人はいませんでした。
・K子の1回目の点数は1点でした。
・3人それぞれの最も低い点数は、すべて異なっていました。
・最終得点は、J子の方がG子よりも1点高くなりました。
・3人の最終得点の平均は4点でした。J子の最終得点は□点、K子の3回の点数は低い方から順に1点、□点、□点でした。(女子学院2022)
点数当て(順位当て)の推理算の定石どおり、表を書いて整理し、可能性のある点数、ない点数を明らかにしながら正解をしぼり込んでいく。
1⃣次の条件より「1点」の枠が決まる
・K子の1回目の点数は1点でした。
・3人それぞれの最も低い点数は、すべて異なっていました。
*❶=「1回目の点数」
2⃣次の条件よりJ子とG子の3回すべての点数が決まる
・3回のうち2回以上同じ点数を取った人はいませんでした。
・最終得点は、J子の方がG子よりも1点高くなりました。
・3人それぞれの最も低い点数は、すべて異なっていました。
まず最も低い点数はすべて異なるので、JとGの「最も低い点数」は2点と3点(逆の可能性はこのあと消える)。またJ子の方がG子より平均1点高くなるような「高い2回の点数」の組合せはJが4点と5点(平均4.5点)、Gが3点と4点(平均3.5点)の1通りだけ。
*●=「最も低い点数」、●=「高い2回の点数」
3⃣次の条件よりK子の「高い2回の点数」が決まる
・3回のうち2回以上同じ点数を取った人はいませんでした。
・3人の最終得点の平均は4点でした。
つまり、J子とG子の平均は (4.5+3.5)÷2=4点なので、K子の平均も4点ということに。そうなる組合せは3点と5点の1通りだけ。
以上より、「高い2回の点数の平均を最終得点とするゲーム」なので、J子の最終得点は4.5点、K子の3回の点数は低い方から順に1点、3点、5点
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