「いただく」を、謙譲語ではなく尊敬語として誤用しているように思われる例が多々あります。


(1)ご確認いただき、ご返送いただきますようお願いいたします。

  →確認してもらうのも、返送してもらうのも、話している あなた でしょう!

   相手は、確認をしてくれる、また、返送してくれるんです。

   尊敬語でいうと、確認や返送をしてくださるんです。


(2)○○○をクリックしていただき、応募ホームからご登録いただきますようお願いいたします。

  →クリックしてもらうのも、登録してもらうのも、話している あなた でしょう!


(3)ご来店いただきまして、ありがとうございます。

  →来店してもらったのは、話している あなた でしょう!

   つけ加えると、お客さんは来店してくれたんです。

   尊敬語でいうと、お客様が来店してくださったんです。


(4)ご応募いただいた方の中から抽選で100名様に、プレゼントを差し上げます。

  →応募してもらったのは、話している あなた でしょう!

   相手は、応募してくれたんです。

   尊敬語でいうと、相手が応募してくださったんです。


(5)私の結婚式に、上司の○○さんが出席していただく予定です。

  →上司は出席して……もう、書くまでもありませんね。。。



……して「いただく」のは、話しているあなた自身です。

敬語(謙譲語)を使わずにいうと、「……してもらった」のは、話しているあなた自身です。



ところで、「……してもらう」のは、話しているあなた自身。

つまり、「……してもらう」のは、相手の動作ではない ということになりますが、

「……してもらう」を、相手の動作について述べることばだと勘違いしている方も多いと思います。


(5)来てもらっていい?

  →来てもらうのは、話している あなた でしょう!

   「もらう」という表現を使うなら、「(私はあなたに)来てもらいたいんだけど、いい?」

   「もらう」を使うのはおかしいと考える私なら、「来てくれる?」「いらしてくださいませんか?」かな。。。


(6)その本、取ってもらっていい?

  →取ってもらうのは、話している あなた でしょう!

   「もらう」という表現を使うなら、「(私はあなたに)その本を取ってもらいたいんだけど、いい?」

   「もらう」を使うのはおかしいと考える私なら、「取ってくれる?」「取ってくださいませんか?」かな。。。



さて、上記の例では、私が意図的に

 「いただく」を赤色の太字で

 「もらう」を青色の太字で

 「くださる」「くれる」をピンク色の太字で

書いていることに気づいてくださった方も、いらっしゃると思います。


「『ご来店いただきまして、ありがとうございます』は、おかしい」と言う人がいます。もっともです。

敬語をなくすと

「来てもらってありがとう」

となるからです。


来てもらったのは自分の動作だから、その自分の動作について、相手に礼を述べるのは変だと考えるからです。

そう考えるのは、「いただく」は謙譲語だという私の知識、あるいは固定観念があるからです。


しかし、「くれる」「もらう」の区別がなく、どちらも相手の動作に使う表現だと思いこんでいる人にとっては、

「ご来店いただきまして、ありがとうございます」

この表現がおかしいという私は、単なる神経質な人と思うことでしょう。



「~してもらっていい?」を何の疑いもなく使う妻の話を聞いているせいか、3歳の娘が真似しはじめました。

私は妻に、娘の日本語がおかしいと指摘するのですが、妻が指摘の意味を理解してくれないので、なかなかうまくいきません。