日吉の書店で見つけました。小佐野氏の名前は三田文学で朝吹さんとの対談で知っておりました。あの小佐野家の直系で歌人です。

 

中学生の頃からの「男性が好き」という悩みを抱えて苦しんで苦しんで生きて行きます。高校でやはり生きずらさを抱えた女性と友情を育みますがそこにも問題が起きます。

 

主要な内容とは別に「富裕層の慶應生活」にかなり驚きました。代官山や渋谷で毎晩繰り広げられるパーティ、クラブ、隠れ家の店の開店、一番古いゴルフクラブ、一番派手なテニスクラブ、海外旅行はクルーレーンでパスポートコントロールされ「搭乗時間が過ぎてから」係の人が案内してくれる、知り合う学生の親は誰もが「大会社を経営している」です。

 

ああ、そういう世界が知らない所であったのね~~と感じました。学生時代心地悪さを感じたことがなかったのにホッといたしました。奇跡のような気がしました。

 

本書の本題はゲイであることを隠して生きる小佐野青年の成長記です。さまざまな実らぬ恋が語られ、生きる苦しみを持った短歌が添えられています。どの短歌もみずみずしく、心に残る歌になっています。