今日は卒業式。二人でこうして屋上で話した回数は数えきれない。
アリサ「アンタさ。結局今日までほとんどボッチだったわね。」
ユウ「そういうアリサこそ、ずっとヤンキーだったじゃねぇか。進路は大丈夫なのかよ。」
アリサ「うるさいわね!ちゃんと大学決まってるわよ。」
ユウ「お前でも行ける大学があったんだなぁ~。」
アリサ「バカにし過ぎでしょ。誰かさんが勉強しろってしつこかったからよ。」
ユウ「へいへい。すみませんでした。」
アリサ「でもユウがいなかったらアタシ、今頃ニートだったと思う。だから、感謝してる。」
ユウ「お、おう。なんだよ急に。」
アリサ「それでね、アタシ決めたんだ。大学を出たら、学校の先生になろうと思うの。」
ユウ「せ、先生?」
アリサ「うん。教員免許取って、この高校に戻ってくるの。そしたらさ・・・。」
そこで、アタシは言葉に詰まった。
アリサ「そしたらさ。またユウと一緒に・・・この学校を良く出来るかなって。」
ユウ「アリサ、お前。」
アリサ「アタシね、ユウの事が好きなの。来年からしばらく会えなくて、寂しいかもしれないけど、でも出来るだけ・・・」
ユウ「嬉しいけど。それは、ダメだ。」
アリサ「ユウ?」
ユウ「俺もアリサの事は好きだよ。出来る事ならこれからも一緒にいたい。でも今日で、全部卒業しよう。」
アリサ「なんで、そんな事言うの?これから先もまた。」
ゆっくりと首を振るユウ。
ユウ「アリサのおかげで、俺の正義は果たされた。でも、俺のせいでアリサの青春時代を奪ってしまった。」
アリサ「そんなこと。ユウがいてくれたから、アタシは。」
ユウ「これからは自分の人生を大切にしてほしい。それにほら、そろそろ時間だ。」
ユウの体から光の粒が現れて、少しずつ天へと昇り始める。
アリサ「ヤダ。ヤダよぉ。」
ユウ「幸せに、なってね。・・・バイバイ。」
アリサ「ユウ!待って!・・・ユウ。」
抱きしめようとしたが、触れられたのは自分の腕だけだった。自然と膝から崩れて、アタシは声を出して泣いて、大好きな彼の名前を何度も呼び続けた。
~数年後~
アタシはもう一度、教師としてあの高校に戻るために必死に努力した。
何度か呼ばれた合コンには、一切参加せず。当時を知る人からは驚かれた。
教員免許も取れたし、母校に戻ってくることも出来た。
違うのは、ユウに会えてない事だけ。
でも、毎日が忙しくて、ユウとの思い出が消えかかっている事だ。
その度に、アタシはこの屋上に来て、タバコを吸う。
???「また、こんなところに居るんですか?」
アリサ「藤野先生。」
藤野「ダメですよ煙草は。健康に悪い」
アリサ「はいはい。」
藤野「それにここは、幽霊が出るってもっぱらの噂なんですから。」
アリサ「マジですか。」
藤野「あれ?蟻野先生も、幽霊怖いんですか?」
アリサ「全然。親御さんたちの方が怖いですよ。」
藤野「たしかに。モンスターですからね。」
アリサ「では、そろそろ午後の授業ですね。行きましょうか。」
アタシが戻ろうとしたその時・・・
ユウ「アリサ。ただいま!」
ふいに、そんな声がして振り向いたが藤野が立っているだけだ。
藤野「どうか、しました?」
アリサ「今、名前を呼ばれた気がしたんですよ。大好きな人に。」
ねぇ、ユウ。
同期で入った彼はさ、どことなくユウに似てる気がしたよ。
下の名前も、ユースケって言うんだ。
別人なはずなのに、おかしいよね。
でも、本当に帰ってきたなら・・・そう言ってよ。
おかえりなさいって言ってあげるからさ。
END
