二番館の思い出Part3-暗い空間の中-
映画館の重い扉を開けると・・・。そこは広い暗闇の中に、モヤ~ンという湿った空気が漂う、何ともいえない空間でした。ついさっきまで昼間の街中にいたのに、ちょっと建物の中に入ると外界から完全に遮断された様な真っ暗な空間が存在し、自分がその中にいる。私はいつも不思議な興奮を感じながら、目を凝らし、転ばないように気をつけながら、そお~とその中を歩いて前の方に歩いて行きました。当時の私は、映画の上映時間なんて全然気にしていませんでしたから、映画の途中だろうがなんだろうが、構わず入場していました。タバコの煙と古い建物特有のすえた臭いが入り混じった空気を嗅ぎながら、私が通路を進んでいくと、暗闇に慣れた目に映るのは、スクリーンの明かりにかすかに照らされるヒビ割れたコンクリートむき出しの壁と、整然と並んだ椅子に座る、ほんの数人しかいない客の頭でした。私が行っていた映画館は、ほとんどの場合5、6人程度しか客は入っていませんでいた。客層はおっさんが中心だったと思います。時々その客たちがプカ~と天井に向かって噴き出すタバコの煙が、映写機の放つ光の中を通過していく様子がきれいに見えていたのが、妙に印象に残っています。当時は禁煙ではなかったのか、それとも禁煙なんて無視されていたのかわかりませんが、映画が始まる前に「上映の妨げになりますので、タバコはご遠慮ください・・・」みたいな場内アナウンスが流れていた記憶がありますので、おそらく完 全な禁煙ではなかったのでしょう。今思えばすごい時代ですね。