カロリンスカへの道(4-2)
なぜ驚異の水か!その発想と展開(2)
日本テレビ放送網 報道局 松本 洋(当時)
私が「驚異の水シリーズ」を発表したのは1992年(平成4年)の6月、ニュース「きょうの出来事」で最初3夜連続で放送した。Iさんの糖尿病編は5作目となる。なぜ驚異の水などとこけ脅すようなものを作るようになったのか。これを説明するには10年前(当時から遡って10年前…今から27年前=管理人)の1985年頃に遡る。
取材で知り合った一人の生物学者が肝硬変と思われる病気になり、南アフリカだけに生息するルイボスティーというお茶を大量に飲んで治してしまったという劇的な事実を目撃してしまったからだ。
肝臓の薬は何百種類とあるのになかなか治らないと専門家からきいていたので、このお茶にどんな成分が含まれているのか調べてみるとフラボノイドが入っている、という。今度は、フラノボイドがどんな役割をするのか追求してみると活性酸素フリーラジカルを消去するという。「何だ、活性酸素とは? 酸素が病気を引き起こすような悪さをするのか」。
酸素を善玉と信じてきた私だけに非常に面喰った。当時、この酸素の研究は生化学者らの手によって進められていたが、それを伝える文献は手に入らなかった。3年後、共立出版から「活性酸素」という本が出版された。早速購入して読んでみたが文化系の私には歯がたたない難解なものだった。その後、理解しやすい本が次々と出版されるようになって、病気の80%~90%に、何と酸素が関わっていることが分かってきた。
糖尿病も、肝臓病も、心臓病も、アルツハイマーも、病名を挙げていったら、もうきりがない。「これは、エライことだ。多くの人に伝えていかなければ」と思うようになった。悪さをする酸素を消去する物質はビタミンC、ビタミンE、ベーターカロチン、前にも挙げてたフラボノイド、ユビキノンなどがある。その中で医師が開発した抗酸化物質を追跡した。大豆、胡麻、胚芽などの天然の植物や種子から採ったものを遠赤外線で加工して作るもので糖尿病や肝臓病などに効果を示すというが、もし、放送するとなると必ず偽物が登場してくる。そして効かないとなれば大変な事態が予想される。
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活性酸素は伝えたいが解決策が見いだせないでモンモンとした日々を3年くらい過ごした。そんなある日、報道局の女性から「水を勉強しなさい」と言われた。
「水?範囲が広く、つかみどころがない水をなんで私に?」「いいから、その内、必ず水博士に会わせるから」と。1ケ月後、新宿に連れていかれ、松尾至晃理学博士に引き合わされた。この博士は水道水に塩を少々加え、電気分解して作る超酸化水を発明した人だ。「この水は細菌がコロコロ死ぬ。水虫や床ずれなども良く治る。しかしねえ、あまりにも一般常識を超えているから、信じて使ってくれる人が少ない」。
報道に関わっている身としては驚くべきニュースだった。
「毒性は?」、「取材の依頼は?」など矢継ぎ早に質問していった。相当な部分を聞き出してから、ふと、長年興味を抱き続けている活性酸素が頭を横切った。
「先生、電気分解の水って活性酸素を消しますか?」。「基礎実験の積み重ねが必要だが、たぶん地球上の物質の中で最も優れたものだろう」。「ええ!」。この一言は衝撃だった。胸につかえ、いつもモヤモヤしていたものが、一気に吹き飛ぶ感じがした。
我々は酸素なしでは生きられない。食べたものをエネルギーに換えるにも酸素が使われる。人間は60兆個の細胞によって組み立てられている。その細胞の中には数個のミトコンドリアがあり、栄養分を電子のやり取りをしながら、酸化・還元を繰り返し、エネルギーに換えていく。窒素でもよさそうなものだが酸素のほうが9倍以上効率が良いのだそうだ。よって、地球上の生物は酸素を利用するようになって飛躍的に進化するようになった。しかし、酸素はジキルとハイドだ。体内にバイ菌が侵入してくると、免疫細胞が出動して、活性酸素を吐き出して応戦する。細菌を殺す程の力を酸素は持っているから細胞は利用する。このように酸素はハイド的な要素がありながら、ジキル的側面もある。煙草を吸っても多量の活性酸素が発生する。
煙に含まれる有害物質を免疫細胞が取り除こうと活性酸素を出すからだ。それなのにある人は肺がんになり、ある人はならないのはなぜだろう。酸素は猛毒だから、生体はそれらを取り除く機能を幾重にも備えている。スーパーオキシドジスムターゼSODという酵素群やビタミン類だ。この除去剤が足りず、活性酸素の量がオーバーした時、スーパーオキシド(O2)、ヒドロキシルラジカル(・OH)など酸素が脂肪を酸化させ、細胞膜を破壊し、遺伝子DNAまで切断する。そしてこれが拡大していくと病気まで進展していく。老化もがんの発生原因も、今はすべて活性酸素で説明できるという学者も出現している。
酸素が酸化作用を起こすというのは、生体内の原子・分子・イオンの電子を引く抜くことだ。引き抜かれた所は電子的に不安定となり、隣りから引き抜こうとする。酸化は急速に拡大する。そこで失われたところに電子を与えれば還元されたことになり、生体内の緊急事態は解消されたことになる。
私も水関連の本を多量に購入し、水に還元作用があるのかどうか必死になって探し求めた。そして、化学同人発行の「基礎生化学」にぶち当たった。著者はカルフォルニア・ステート・ユニバーシティのラリー・シェイブ博士で、生物学、化学、生化学を専攻しようとする学生向けに書かれた本である。酸化還元反応の項目に次のようにあった。
還元剤が電子を与える傾向、あるいは酸化剤が電子を受け取る傾向は研究室内で測定でき、標準酸化還元電位として数量化できる。標準酸化還元電位は還元剤が電子を供与する、あるいは酸化剤が電子を受容する相対的傾向として定義できる。(中略)”より大きい”負の標準酸化還元電位を示す物質はより大きい電子供給傾向を示す。したがって還元剤ということになる。”より大きい”正の標準酸化還元電位を示す物質はより大きい電子供与傾向を示す。従って酸化剤ということになる。たとえば水素(E’o=-0.42V)は非常に良い還元剤であり、電子を適当な電子受容体に与える。酸素(E'o=+0.82V)は非常に強い酸化剤であり、適当な電子供与体からからすぐに電子を受け取る。 |
これはすごい教示だ。本は宝だ。このページは特にゴールドペーパーに見えた。要するに酸素と水素を分ければ良いのだ。それにピッタリ当てはまるのが電気分解して取り出した水だ。水道水を膜で二つに分け、電気分解するとプラスの電極に酸素がより多く集まりプラス700mv程の電位を示す。一方マイナス電極にはマイナス250mv程の電位を示すアルカリ性の水ができ、それを我々は飲んでいる。この水は水素が多く含まれた還元力の優れた水ということになる。協和病院やその他の病院で驚くべき効果が次々と出現するのは水の酸化力、または一方の還元力の豊富な水をつけたり、飲んだりして生まれる効果だ。謎が解けると、いとも簡単だが、多くの人は信じようとしない。科学的立証がされない限り、すったもんだは当分続くのであろうか。
電子スピン共鳴装置(ESR)は活性酸素の情報をキャッチする測定装置だ。ウオーター研究会の河野雅弘博士はいろいろな水をこのESRにかけ文献にまとめている。水に溶けた様々な化学物質は酸素と結び付き、過剰な活性酸素を作り出している。都市部では生活排水に含まれる油やリン化合物が、農村では農薬が、産業分野では半導体の洗浄に使われるハロメタンやフロンなどが、どれも人間が楽をして、よりよい生活をするために創り出した化学物質だ。これによって水が汚染され続けていると警告を発している。
温暖化、酸性雨、土壌汚染、水質汚染が叫ばれて久しい。一向に解決の見通しはたっていない。これらはすべて酸化現象だ。石油を燃やしエネルギーを獲得するのも酸化だ。当然体内にも侵入してくる。人間が、犬が、猫が、山羊がアレルギーで苦しんでいるのは酸化のなれの果てと思われる。かつては水俣病で猫が踊り狂うように死んでいったのをいち早く検証し警鐘を鳴らし続けたならば、有機水銀の被害をもっと少なく出来たかもしれない。驚異の水シリーズの発想の根本は一刻も早く還元作業を始めてほしいという強い願いからだ。後世に重大な禍根を残す事になる。
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今、新たに登場してきた構造水という水とトーマス・オルガ菌で作る有機肥料とでどれだけ優れた農作物が出来るかを取材し続けている。この二つの組み合わせは現在のところトマトの立ち枯れを一本も出していない。農薬を1/3に減らし、品質の高い製品を生み出している。なぜ農産物や水のこだわるのか、本来野菜や果物、穀物の中には抗酸化物のビタミンCやビタミンE、ベーターカロチンやフラボノイド等が豊富に含まれている。それが、もし多くの化学肥料、農薬で打ち消されているとするならば還元作用をもつ食物がないことになる。電気分解でマイナス電極に生まれる水は前に触れたように還元する水だ。だからこだわっている。
21世紀は間近、害を及ぼすジキルの活性酸素から逃れる方法を早く編みださない限り、あなたも妻も子供や孫もけっして安泰はなく、そこに到達するには多くの人の理解となみなみならぬ努力が必要となってくる。
参考文献
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=平成8年出版 機能水農業:(株)新農林社=
松本 洋カメラマンは「驚異の水」シリーズの取材で「社長表彰」されたそうですが、報道の反響は良くも悪くもあまりに大きく、結局国民生活センターや識者の「批判キャンペーン」などによって、電解水は否定される方向に導かれてしまいました。
風の噂では、翌年、松本カメラマンは「ガセネタ報道」の汚名を着せられ報道の第一戦から外されたそうです。
その後、松本氏は膨大な資料と映像をもとに「講演活動」を続けられたという。
新聞、TVの報道が正しいとは限らない。またや権力や社会の状況によって正しい報道が受け入れられるとは限らない。正しいことを報道することは実は勇気が必要となる。
農薬が1/3に減る農業が、日本の農政に受け入れられるハズがない。農協の支配体制にある農家は、農薬を使わざるを得ない。有機農業に対する迫害の歴史がそれを物語っている。医療についても同じようなことがいえるだろう。ハッキリいって松本カメラマンの報道を迷惑至極ととらえる人たちがいることは安易に想像される。
松本カメラマンの行動も、後の批判の嵐を考えれば、使命感をもった勇気ある行動といえよう。
そして、松本カメラマンの投じた一石が、今、カロリンスカへの道を拓いた第一歩であることに間違いはない。
世界最高峰のカロリンスカ研究所附属病院で電解還元水による臨床研究が始まっている。
科学は因果を極める学問である。「協和病院やその他の病院で驚くべき効果が次々と出現する」還元水の還元効果がここで発揮されないわけがない。その先に見える結果は容易に想像されるだろう。
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