環境について考える

20世紀は環境破壊の時代でしたが21世紀は環境を取り戻す世紀となるでしょう。環境破壊の影響は我々の生活や健康を脅かしています。奇妙な病が増え、今の子供たちの世代は、明らかに、我々とは違った行動や考え方生き方をしていく世代となります。それは価値観の違いとか、そういうものではなく、異常な行動が目立つ世代になってます。
その原因について、様々な議論が展開されています。しかし、アトピー皮膚炎というわけのわからない病が出現しています。病名のアトピーと言う言葉の意味が「わけがわからない」といったような意味だそうです。

1997年、京都で地球温暖化防止会議が開かれました。しかし、今、世界各国はこの会議で決まったことを守ろうとしているでしょうか?
地球温暖化、オゾンホールの破壊、森林の大量伐採、水資源の枯渇と砂漠化…。

私は、あるところで、セブリン鈴木さん(当時13歳)の言葉に触れる機会がありました。14歳の中学生の少女が朗読したのですが、会場内は水を打ったように静まり返り、朗読している少女も感極まって涙するほど、私たちの心をうちました。
そして朗読が終わると万雷の拍手が起こりました。
今から13年前、クローバルフォーラム京都会議でも、同じようなことが起きたことは想像に難くありません。

しかし、21世紀が始まって6年が経ちますが、経済発展のための資源の奪い合いと、環境の破壊が続いています。地球の砂漠化が進み、水資源が失われています。
人類の進歩、発展とは一体何なのでしょうか。13歳の少女の声に耳を傾けて、もう一度考えてみることが必要であろうと、私は考えます。

1993.04・クローバルフォーラム京都会議より
                      閉会の辞・セブリン鈴木(13歳)

お話させて頂くこと、とても光栄です。
こんな事いうことを許して頂きたいのですが、グローパルフォーラムを聞いていて物足りなく感じました。

私たち子供は自然と親密な関係を失っていません。
おたまじゃくしや花や昆虫など愛しています。
そして、人間が自然の一部であることがよくわかります。
『価値の転換をどうすればいいか』と、一生懸命に話をしている大人の人たちを見ていると、複雑なことを考えすぎて、簡単なことを忘れてしまっているように思うのです。

価値の転換の秘密は、子供の頃を思い出すこと、何が正しく何が間違っていたかを思い出して下さい。
本当に大切なことは、純白で偽りのないことです。
あなた方の中の子供の心は、一番大切な価値や本質を知っています。
いくらお金があっても自然がなければ生きては行けません。それなのにあなた方の興味は出世や金儲けのことばかりです。
あなた方は「子供のとき自然はいつもそばにあった』という思い出を持つ最後の世代になってしまうのではないでしょうか。
すでに都会の子供たちは自然に触れ合う経験がありません。

私は21世紀に21歳になります。あなた方の残した地球に生きることになるのです。
私たちが生きることのできる地球を残すためには、大きな変革を急いで実行する必要があります。
本当にそれをしてもらえるのでしょうか。もしあなた方がやらなければ、いったい誰がするのでしょうか。
もうこれ以上地球を破壊することを、正当化することはできません。

ソマリアやバングラディシュでは、子供たちが飢え苦しんでいます。
でも豊かな国の政府は分け与えることはしたくないようです。
私には、貧困や公害をなくすことができるお金が、破壊や殺人のために使われていることが不思議でなりません。
私は子供環境機構(ECHO)自然保護活動をしていますが、いつも『経済が第一だ』という論争に巻き込まれています。
でも、きれいな空気、水、土がなければどうやって生きて行けるというのでしょう。
あなた方はどうしてそれがわからないのですか。

大人はよく言います。『子供は大人の望み。子供は未来を、世界を救うでしょう』と。
でもそれは言い訳です。子供にとってはあなたがモデルなのに、子供があなたと違う行動を取れるでしょうか。
いつもいっているではないですか。
『けんかをしてはいけない。生き物を傷つけてはいれない。分け合いなさい、欲張ってはいけない』と。
でもあなたがたはどうして、いけないことばかりしているのですか。
私の両親は環境保護の活動をしています。私はそれを誇りに思います。

将来を失うということはとても恐ろしいことです。
お金がなくなったり、株が下がったりすることと比較になりません。
私たちはたくさんの動物、鳥や昆虫を見ることができましたが、果たして私の子供はそれらを見ることができるでしょうか。
あなた方は子供のとき、こんな心配をしたことがありましたか。
すべてはあなた方の時代から始まっています。
そして『まだ大丈夫、まだ時間がある』ように振る舞っています。
でも、オゾンホールの修復の仕方を知っていますか。
死んでしまった川に鮭を呼び戻すことができますか。
絶滅した動物たちを生き返らせることができますか。
砂漠になってしまった森を元に戻すことができますか。
それができないのならせめて、もうこれ以上壊すのはやめて下さい。

ブラジルの地球サミットのとき、リオで道端に住んでいる子供『ストリートチルドレン』を見てショックを受けました。
その一人が私に「もし僕が金持ちだったら、みんなに食べ物や服や小屋を上げるのに…」と言いました。
必要なものを全て持っているあなた方がなぜ、もっと欲しがるのでしょうか。

このグローバル会議で聞いたことは去年リオでも聞きましたが、私には混乱がさらにひどくなったように思えます。
会議で決めたことが実行されるのはいつのことでしょうか。本当に心配でたまりません。
あなた方は私たちのモデルです。私たちはあなた方のようになろうとしているのです。
どうかお手本を見せて下さい。勇気を失わないで下さい。

『他の子の言うことなど気にしないで。人の真似をするんじゃありません』と言うではありませんか。どうして変化をおそれるのですか。

最後に、世界中の子供たち、未来の人たち、動物、植物を代表して訪ねます。
『あなた方は何を遺産として残してくれるのですか」。
『あなた方は何を待っているのですか』

ありがとうございました。