5年前の今日・・・
9月4日・・・
時間は22時55分・・・
間違いなくその場所はいつもなら静かなことが多い・・・
ただ、その日は違った・・・
この時間に一番の盛り上がりを見せる・・・


その前に時間を少しさかのぼりますか・・・
4時間ほど前・・・
この日の試合は何かが違った・・・
2回・・・
阿部の打球が天井にあたりヒットになる・・・
これ自体がなかなか起こりえない珍しいこと・・・
だけどこの日はやはり違った・・・


その珍しいことから2時間後・・・
1点差に追い上げた9回二死3塁・・・
ここで小笠原の打った打球は高々とあがるライトフライ・・・
ほぼライトの定位置・・・
プロなら10000回やっても1度も落とさないだろうという打球・・・
万事休す・・・
誰もがそう思った瞬間・・・


野球の神様はいたずらをした・・・
ライトの動きがおかしい・・・
ボールを見失う・・・
ありえない・・・
そう、この日二度目の天井直撃!!
ボールが落ちる・・・
もちろん二死のためランナーは生還!
まさかの同点!!

湧き上がるドーム!

敗色濃厚が一転サヨナラのチャンスに!!


だが、サヨナラにはならず延長戦に突入・・・
この時点でジャイアンツは捕手が残り一人・・・
加藤である・・・


その加藤がしっかりリードしてヤクルト打線を0に抑える・・・
延長もイニングが続き11回の裏・・・
ジャイアンツの攻撃・・・
ここでアクシデントが起きる・・・

バッター加藤の頭に相手投手の投げた直球が直撃・・・
もちろん硬い硬球・・・
命の危険さえある直撃だ・・・
うずくまる加藤・・・

そのまま担架で病院へ・・・
ここでベンチから一人の男が消える・・・


さて、時間は戻って22時55分・・・
11回にサヨナラにできなかったジャイアンツには当然のようにこの問題が起きる・・・
最後の一人の捕手登録の加藤が病院へ・・・
誰を捕手にするのか・・・
どうするの?
あまり詳しくない人はこう思うであろうけど・・・
我々スタンドのファンにはわかっていた・・・
まだこの男がいる・・・

あのときベンチから消えたあの男が・・・


そのときが来る・・・
一人の男がキャッチャーの格好で出てくる・・・
歓声!!

一時の歓声のあと・・・
全員が静かにそのアナウンスにを聞き入る・・・
静寂・・・
アナウンスが流れる・・・
「セカンドの木村拓也がキャッチャー」
大歓声!!


投球練習が始まる・・・
豊田の球を華麗にキャッチング!
一球ごとにあがる歓声!!
セカンドへの送球でも歓声!!
投球練習でこれだけの歓声があがることはまずない・・・
でも、その歓声をださせるだけのすごいことを平然とやってのける・・・


投球練習も終わり試合再開!
延長の最終回・・・
この回をおさえれば負けはない・・・
そういう大事なイニング・・・

一人目・・・
初球からフォークを投げるなどしっかりサイン交換し、組み立てて中飛に打ち取る・・・


二人目・・・
ここでジャイアンツは投手を藤田に交代する・・・
バッターは今メジャーで活躍する青木・・・
その青木への組み立てがまた圧巻だった・・・
初球低めの変化球・・・ボール・・・
二球目外への逃げる変化球で空振り・・・
三球目外ぎりぎりに落ちる変化球で見逃し・・・追い込んだ・・・
ここで4球目がすごい!!
中への変化球!!
これに青木のバットが空を切る・・・
三振!!
この組み立てはなかなかできるものじゃない・・・


さぁ、あと一人というところで四球、安打で2死1,2塁・・・
ここでジャイアンツはまた投手交代・・・
野間口を送り出す・・・
カウント2-2からの五球目・・・
内角にまっすぐ突き刺さる151キロ!!
空を切るバット・・・
噛み締めるようにミットにおさまったボールを握る・・・
二度三度うなずいて引き上げるヒーロー・・・

出迎える監督のうれしそうな顔1!!
何回もねぎらうように・・・
興奮して肩を5回たたく・・・
ベンチで出迎える全員が笑顔だった!!
もちろんスタンドのファン全員も笑顔だった!!


この試合のあとの監督の話であるが・・・
「困ったときの拓也頼みだった!」「あsこは拓也に託すしかなかった」「よく拓也が救ってくれました」という最大限の賛辞を送る・・・

試合は引き分けに終わったわけですが・・・

この試合を契機にチームはまとまり優勝へ快進撃を続けることになります・・・


秋の初めにおきた野球の神様のいたずら・・・
それに応えた木村拓也!!

そんな拓さんがいまでも大好きです!!

本当はもっとみたかった・・・
あのあとの会見でみせたあなたの優しい笑顔を・・・

今は大好きな野球を天国から見ているんじゃないかと思う・・・

今でも東京ドームのセカンドの定位置にはいるんじゃないかと思う・・・

背番号0を背負ったその男が・・・