自伝的小説【新世界創造】 第2部 第1話【中学初日】 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

 その日の朝、私は母とともに学校に向かっていた。向かう先は小学校ではなく中学校である。そう。ついにわたくしメシアも中学生になったのだ。

 

 
 私はネクタイをしめ、制服に身を包み、カバン片手に中学校への道を歩き続けた。

 

 
 学校にたどり着くと母と離れ離れになり、私は2年生の男子生徒に導かれて教室に向かった。そして席についてしばらくたったときである。教室中を走り回っていたひとりの男子生徒が私の机にドカッとぶつかり、反省0の様子で『あ、すいません』といったのだ。

 

 
 その口調にややムカッときたのだが、そのすぐ直後、私のもとにひとりの男子生徒が駆け寄ってきた。

 

 
 「まさかメシアと一緒になれるとは思ってなかったよ!」

 

 
 小学生時代の友達のムツイ(仮名)という奴である。彼とはさほど親しくはなかったが、小学生時代、学校を代表するスーパースターだった私と同じクラスになれたことが嬉しかったのだろう。

 

 
 しばらくたって担任の先生がやってくる。私たちの担任は30歳くらいの女性の美術の先生で、どこかピエロを連想させる雰囲気の人だった。中学校でのつらい1年間、彼女の存在にはかすかながらも救われた部分がある。

 

 
 次に生徒ひとりひとりが黒板の前に出ての自己紹介。私の番がやってくると名前と生年月日をいったあと、私ははきはきと大きな声でこういった。

 

 
 「好きな歌はローリング・ストーンズの【ロック・アンド・ア・ハード・プレイス】と【ユー・キャント・オールウェイズ・ゲット・ホワット・ユー・ウォント】でーす」

 

 
 きまったな━━席に戻った私は自分のあまりのカッコよさに、自分で自分にしびれまくっていた。

 

 
 ━━生徒の自己紹介が終わると、次は体育館での先生たちの自己紹介。小学生の頃はすべての科目をひとりの先生が担当していたが、中学では国語、数学、社会、体育と、それぞれの科目をひとりひとりのスペシャリストが教えるようである。

 

 
 ━━帰り道。私は友達と雑談しながら、【もう誰も愛さない】というドラマのことを口にした。が、友達の中で【もう誰も愛さない】を知っている人はひとりもいなかった。

 

 
 【もう誰も愛さない】とは1990年に大ヒットしたドラマで、私が中学1年だった1991年当時、再放送をしていたのである。私はそれを見るのが楽しみだといったのだが、その話題に乗る友達はひとりもあらわれなかった。

 

 
 それにしても、私は翌日から中学校に通うのが恐ろしかった。小学生時代、ただでさえ世紀のスーパースターだったというのに、なんということか、あんな大勢の前で、ストーンズの歌を聴いているということをいってしまったのだ。いったい何人の女子生徒が私を好きになり、何人の男子生徒が私に憧れるのだろうか?━━それを想像するだけで、ある意味怖くなってしまったのである。

 

 
 しかし翌日から、想像とはまったく逆の展開が待ち受けているのであった……。

 

 

 

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