メシア的感動のアンビリバボー傑作選  韓国スター女優 純愛の記録 第4話 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

 2009年1月、チャン・ジニョンの2度目の抗ガン剤投与がはじまった。しかし、それは想像を絶する苦しみをともなった。

 

 
 ある日、あまりの苦痛にチャン・ジニョンは病院のベッドから落ちてしまう。それを見舞いにきていたキム・ヨンギュンが目撃する。

 

 
 「ジニョン!大丈夫か!?」キム・ヨンギュンはチャン・ジニョンのそばに駆けつけ、背中をさすりながらいった。「僕が代わってあげられたら……」

 

 
 そんなキム・ヨンギュンにチャン・ジニョンがか細い声でいった。

 

 
 「……つらいでしょう?私のこと見てるの。つらかったら別れてもいいんだよ……」

 

 
 「なにいってるんだ!そんなこと……」

 

 
 「これから髪も抜けるし痩せてくし、こんな姿であなたに愛してなんていえない……」

 

 
 言葉につまるキム・ヨンギュン。

 

 
 「ジニョン……」

 

 
 彼は当時を振り返っていう。

 

 
 「ジニョンは僕を気づかい、別れをいってきたんです。……彼女につらい思いをさせてはいけない。ぜったいに守ってあげようとそのとき心に誓ったんです」

 

 
 ━━ふたりきりの病室。痩せ衰えたチャン・ジニョンをキム・ヨンギュンは強く抱きしめながらいった。

 

 
 「ぜったい良くなるから、僕がそばにいるから」

 

 
 しかし━━5月末には腎臓など、ほかの臓器への転移が認められた。それからキム・ヨンギュンは仕事の量を減らし、少しでもチャン・ジニョンと一緒にいられるようにしたという。

 

 
 ━━むかえた6月14日、チャン・ジニョンの誕生日。ふたりはその日、はじめて出会ったカフェバーに訪れた。チャン・ジニョンはショートカットのかつらをつけ、病人とは思えないほど美しく装っていた。

 

 
 一方、キム・ヨンギュンはチャン・ジニョンには内緒にとある計画を立てていた。

 

 
 バーの奥の人気のない場所に進むふたり。そしてキム・ヨンギュンがカーテンを開けた瞬間だった。

 

 
 「ジニョン、おめでとう!」

 

 
 なんとチャン・ジニョンの友人たちが待ち構えてクラッカーを鳴らしたのである。キム・ヨンギュンはいう。

 

 
 「これが最後の誕生日になるかもしれない。だったら最高の誕生日にしたいと思い、サプライズのバースデーパーティーを開くことにしました」

 

 
 パーティーは終わり、ふたりきりになるチャン・ジニョンとキム・ヨンギュン。そのとき、キム・ヨンギュンがポケットから1枚の紙を取り出した。それはチャン・ジニョンへの手紙であった。それを読み出すキム・ヨンギュン。

 

 
 ジニョンへ。僕たち、出会った1年半が過ぎましたね。長い時間ではなかったかもしれないけど、君は愛と幸せをたくさんくれました。

 
 僕は君との人目を忍ぶデートでもすごく幸せでした。まるで世界のすべてを手に入れたようで、君が恋人だってことをみんなに自慢したい気分だった。すべてが美しい時間でした。

 
 この9ヶ月、治療を受けている君を見ていました。髪の毛が抜けても、薬が体の力を奪っても、いつも毅然としていましたね。そんな君を見るたび、チャン・ジニョンはなんてすごい女優なんだと思いました。

 
 僕はこれからすべてをかけて君を愛し、守り、君の力になる、最後までそばにいる。

 

 
 そしてキム・ヨンギュンはそっと指輪を取り出していった。

 

 
 「ジニョン、結婚しよう」

 

 
 次の瞬間、チャン・ジニョンは泣きながらキム・ヨンギュンの胸に飛び込んだ。

 

 
 「ありがとう、嬉しい……」

 

 

 

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