ジェイズフォトグラフィー ウッチーのブログ
今回は 若干脱線しますが、雑誌のカメラマンだった頃の話をします。


アイドル系の月刊誌からいきなり大抜擢で10人いたカメラマンの中で
年が一番若かった私が 新刊の高校生向けの月刊アイドル雑誌にコンバートされました。
大勢の先輩カメラマン達がほとんどの紙面を撮っていて私の出番は
まだ少なかったので すこし嬉しくもあったのですが 実際はとても過酷でした。
何故かと言うとその雑誌にはなんと カメラマンは一人しかいなかったのです。
しかも写真がとても重要なグラビア雑誌で・・・・・
 

「表紙からジャケ写(レコードジャケットの複写の事)まで1冊まるごと担当してもらうから。」

と言い渡されました。

巻頭グラビアが13ページあり創刊号のときには海外でで撮影して 深夜に成田
から編集部に戻ると 打ち合わせをするために待っていた編集が3人もいて
朝方打ち合わせが済み 数時間仮眠してすぐまた取材に出る、というような日々を送っていました・・・・


前置きが長くて申し訳ありません・・ここからが本題です。 


そこへ登場したのが 他の漫画雑誌の編集部からきたFカメラマンでした。

彼がきてくれたおかげで負担が減り本当に助かったのですが おもしろい経歴の持ち主で カメラマンになる前はディスクジョッキーをしていたそうです。

彼がこの雑誌での初仕事で アイドルグループを会社のスタジオで撮影することになりました。

副編集長に
「内田 一緒にスタジオに入って、いろいろアドバイスしてやってくれ」

と言われスタジオのすみで 撮影風景を観察することになりました。


すごいカメラマンが来たな・・・と思いました。

とにかく話術がすごいのです。スタジオ中のタレントはもちろん マネージャーもスタイリストも 編集も スタジオ付きのアシスタント(スタジオマンと呼ばれる)も私も まだ撮影前で1枚もシャッターを切る前から スタジオの中は ハイテンションでとても楽しい雰囲気に包まれているのです。
それに比べると私が撮影する時などは、せいぜいぼけて単発的に笑いをとるくらいのものでこれはとうてい勝てない・・・と無力感を覚えたものです。


ところが・・・
いざ撮影をはじめると かれの得意の話術が影を潜め 配置やポーズライティングの支持が多くなり

会話が減り テンションはがた落ち さっきまで自然に心から笑っていたタレントの顔が営業用の定番のスマイルに変わっていたのです。


要するに彼はこのブログで今までテーマにしていたところの 人の心を動かす才能をもっているのに 心の動いた瞬間をとらえていなかったのです。
今回は大分脱線しましたが、ここがいいたかったのです。
彼は言葉のキャッチボールをしながら 撮り手の心と撮られる側の心がリンクしたまま撮影するべきだったのです。つまり話しながらシャッターを切らなければいい写真にはならなかったのです。


余談ですがその後Fカメラマンは 私の忠告が功を奏したのかどうかわかりませんが
そのすばらしい能力を発揮したいい写真を 撮るようになりました。


ぜひ皆さんも お子さんと話しながらシャッターを切ってください。