麗しい姿を水面に映し、凜と咲く水芭蕉
「美しい思い出」「変わらぬ美しさ」が
水芭蕉の花言葉
尾瀬の夏の情景を謳った、
「夏の思い出」が起源だそうです。
納得ですね!!
ところで、水芭蕉の英名を知ってますか?
検索で初めて知り、衝撃を受けました!!
Asian skunk cabbage とか
White skunk cabbageと呼ぶのだそうです。
アジアのスカンクなキャベツ
白いスカンクなキャベツとは、何故に??
同じ水芭蕉属で黄花のアメリカ水芭蕉や
ザゼンソウが悪臭を放つので
skunk cabbageという名を
もつことに由来するのだそうです。
水芭蕉が持つ美しいイメージが壊れちゃうな!
アジア産のskunk cabbage
or、skunk cabbageの白バージョン
ということなのね!
水芭蕉には、ほのかな甘い香りが
感じられるのですが・・・
・・・*・・・
東京大学大学院理学系研究科付属植物園日光分園
噛みそうな正式名です!!
日光人は「日光植物園」と呼んでいますが、
小石川植物園が本園で、
その分園が日光植物園というわけ!!
東京で気候的に困難な高山植物の教育研究を
目的にした植物園なんですよ。
毎年12月から4月中旬までは冬期休園です。
3月26日~3月31日の期間のみ
ミズバショウのための特別開園ということで
臨時オープンしていました。
3月29日に行ってきました。
午後は園長でもある東大大学院准教授の
舘野先生による園内ガイド予定ということで、
それに併せて訪園。
植物に関する興味深いお話を
たっぷり聞かせて頂きました。
*
聞いたお話の覚え書きとして、
以下の内容を記録に残します。
① 高山植物は実は寒さに弱い
② 気泡が木を殺す
③ 黒烏龍茶は毒!?
④ イチゴは人間に食べられたくない!
⑤ 樹木の寿命は
⑥ 取り付き、乗り移り・・・・
⑦ 尾瀬の水芭蕉が立派なのは、・・・
ここから先長くなりますので、お急ぎの方、
興味の無い方はどうぞスルーしてくださいね。
① 高山植物は実は寒さに弱い
集合場所の庁舎前に大きなロックガーデンがあります。
開園期間は、様々な高山植物を見ることができ、楽しみなエリアなのですが、
開園前のロックガーデンは枯れ葉が敷き詰められ、さらにその上をネットで
覆っていました。
実は高山植物は寒さに弱いので、日光の寒さで凍死するのだそうです!!
高山植物が生きる高山は雪に覆われ、雪下の地表は0℃以下になることはない。
雪が少なく寒い日光の地表は-25℃になることもある。だから、雪の代わりに、
枯れ葉で防寒している。
② 気泡が木を殺す
日光くらいの高度になると、椎や樫などの常緑樹は見かけられなくなり、
代わって針葉樹が増える。それは日光では、気泡が椎や樫を殺すことになるから。
冬期に常緑樹が吸い上げた水は道管内で凍る。冷蔵庫で製氷された氷の内部に
気泡が出来るように、樹木の道管内で凍った水にも気泡ができる。
では、気泡が出来るとどうなるか?
人間の血管に空気を注入すると死んでしまうように木も枯死する。ところが,
針葉樹の道管はとても細く、水が凍っても気泡が出来ない。だから、針葉樹は、
寒冷地や寒地に強い。標高500mを超えると針葉樹が圧倒的に多くなる。
ロゼッタ状で越冬する常緑の宿根草も葉脈が細く凍結死することはない。ただ、
茎内では凍結によって気泡ができるので、茎は枯れた状態になる。
③ 黒烏龍茶は毒?!
苦みは毒の存在を示す。
これはフキノトウの毒が引き起こす症状であるが、フキノトウを茹でたり、揚げたり
加熱することで毒を分解することができる。(毒が分解されても食べ過ぎには注意)
苦みは毒があるサインであり、摂取することで身体は反応する。黒烏龍茶も
脂肪分解と謳っているが、?である。
酒を飲めない妻が宴会で黒烏龍茶ばかり飲んでいたら、帰宅後に酷い下痢を
起こしたことがある。下痢が続けば、結果痩せることにつながる。
反対に甘い物には毒が無い。これにも身体はうまく反応する(笑)
④ イチゴは人間に食べられたくない!
花や果実に色や香りがあるのは、人間を楽しませるためではない。
命を繋ぐためのパートナーに自分の存在をアピールするためである。だから、
イチゴは、実は人間に食べられたくないと思っている(笑)鳥に食べられたいのじゃ
ないかな!鳥には歯がなく食べた種もそのまま排出されるからね。しかも鳥は、
赤い色を見分けるから!
自然界には、赤い花はほとんど無い!園芸種で作られた赤い花はあるが。
自然界の赤い花といえば、椿とハイビスカス。どちらも命繋ぎのパートナーとして
鳥を選んだ。
蜂や花虻、蝶をパートナーにした植物は、白や白に近い色の花を咲かせる。
虫の仲間でもハエをパートナーに選んだ花は、腐肉の香りを放つ。
⑤ 樹木の寿命は
園内の樹木がどのくらいまでの風速に耐えられるか実験したことがある。
実験木として選ばれたのはカラマツ。風速100㎞くらいまで耐えることが分かった。
だが、どんな木でも同じということではなく、木質の密度が高いものほど耐性が高まる。
密度の低い代表はバルサ。密度の低い木ほど成長が早く寿命が短いというのも
特徴。密度が低いほど腐りやすく短命。
桜の寿命は100年程度。イチョウやナツツバキで200年程度。
鶴岡八幡宮公曉隠れイチョウ伝説の樹齢2000年説は怪しい。
あのイチョウが倒れた後、樹齢測定をされた事実はあるが、公開されていない(笑)
⑥ 取り付き、乗り移り・・・・
頭上を見上げると、オオバマンサクの黄色い花と梢に絡む藤蔓が見えた。
地面を見ると、藤の根が地表を這うように縦横無尽に伸びている。
藤は木に取り付き、巻きついて登るが、取り付いた相手を半殺しにすることは
あっても、決して殺さない事を心得ている。これ以上蔓を上に伸ばしたら相手が
光合成できずに枯死する引き処を知っていて、そこまで伸びると隣の木へと
乗り移っていくようになる。
同じように木に取り付く植物であっても、ツタなどのおとなしい性質の蔓植物は
半殺しにすることもない。蔓の先端に光量を感じるセンサーのようなものがあり、
これ以上伸びたらまずいと感じたら、生長を止める。
藤の根がごつごつと地表のあちらこちらに走っているが、これは栄養分が
地表から浅い部分までしかないから。藤に限らずどんな樹木も地下深い所までは
根を張らない。昨年の豪雨の生々しい映像の記憶にあると思うが、山肌を樹木が
滑るように流れたのはそういう理由から。
⑦ 尾瀬の水芭蕉が立派なのは、・・・
来園者に、「日光植物園の水芭蕉は小さいですね。」とよく言われるが、
異なる種類のものではなく、自然に任せ肥料を与えていないから小さい。
尾瀬の水芭蕉が大きく立派なのは、入山者のためのトイレ事情による。
*
以上、館野先生のお話をメモすることなく
記憶を頼りに記述しましたが、実際のお話を
正確に記述できたわけではありません。
言葉を置き換えたり、誤記憶で間違った表現をしたりの
可能性が大いにあることを付記します。
大学院の先生のお話はやたら専門用語が多く、
易しいことも難解に聞こえる印象がありますが、
館野先生のお話は平明な言葉を使い、
ユーモアも交えて楽しく、
中学生でも理解できそうでした。
しかも園内をガイドしながら、約90分で案内を終える・・・
一講義90分!さすがです。