「はかない希望」「消えた希望」 「はかない恋」 「見放される」
「固い誓い」 「薄れゆく 希望」 「あなたを愛します」 「恋の苦しみ」
「極限の愛」 「悲しい思い出」 「期待」 「失望」 「 堅忍」 「見捨てる」
「嫉妬のための無実の犠牲」 「真実」 「無邪気」 「辛抱」
ここに並べた言葉は、どれもある1つの花が持つ花言葉です。
悲哀に満ちた言葉の数々、明るい未来や希望・夢など約束された言葉はありません。
こんな悲しさをたたえた花は、一体・・・・・・・・・・?
「アネモネ」なのです。
今日は、アネモネのお話をしましょう。
その前に、J’S GARDENのアネモネからご紹介。 サンルーム前のコーナー
ここには、左手前のオルレア
手前中央に ティアレラ・ウィリーとアマリリス
後方左手に微かに見える白いアネモネ と
その右側には、ピンクのアネモネが咲いています。
このアネモネたち、昨年秋に植え付けるのを忘れ、初冬の11月末に植え付けました。
通常なら、年内に芽を出し、冬を越すのですが、
12月の突然の寒さに、発芽を躊躇したようです・・・・・・・・。
暖地なら、開花しているであろう3月に発芽、そしてやっと今、開花に至りました。
でもね、もう咲き終わっているちょっと珍しいアネモネも庭にあります。
原種のアネモネ(アネモネ・フルゲンス)は、4月に開花。今は種を作っています。
植え付けて、4年目のこのアネモネ、毎年忘れずに濃いめのピンクの顔を出し、
紫の瞳のような柱頭のまわりで、長い睫のような青紫のシベを輝かせます。
花びらに見えるのは、実は萼。
アネモネ、クレマチス・・・キンポウゲ科の植物はみな花びらに見える部分が、実は萼なのですね。
開花が進むとシベの周囲に
白いリングが現れ、更に魅力を増し・・・・・
萼もシベも散り、柱頭が膨らんで果実に。
灰緑色からハシバミ色に変わって、
果実が熟れたことを知らせます。
ほら、種です。綿毛です。
風に乗って、何処へ旅するのでしょう?
綿毛が風に乗って運ばれることや、風に吹きさらされ2度目の風で開花するという言い伝えから、
英名では、「風の花」(Wind Flower)と、呼ばれるそうです。
さて、お茶しながら、アネモネにまつわる悲しいお話を聞いてください。 イギリス、ロイヤル・アルバート社製
FLOWER OF THE MONTH SERIES "ANEMOINE" : March
まずは、ギリシャ神話から
名前はギリシャ語の風(アネモス:anemos)に由来します。
これには次のようなギリシャ神話が残っているのです。キュプロス王・キニュラスとその娘ミュラとの間に生まれたアドニスは、
ギリシャ神話一の美青年に成長しました。
愛と美の女神アフロディテは、その子エロスと遊んでいた際、
エロスが誤って放った矢を胸に当てて、美青年アドニスに恋してしまうのです。
しかし、アドニスの興味はもっぱら狩り。アフロディテに振り向くことはありませんでした。
ある日、いつものように狩に出かけたアドニスは、
巨大な猪に出会いその牙で刺し殺されてしいます。
アフロディテは悲しみ、冥界の王ハデスにアドニスを生き返らせてくれと頼見ます。
その願いはそれは受け入れられず、代わりにハデスはアドニスを花として転生させました。
しかし、その花は風が吹けば散ってしまいます。風とともに咲き風とともに散る花だったのです。
人々は「風の花(アネモネ)」と呼ぶようになりました。
ちなみに、アドニスを襲った猪は、
アフロディテの愛人で軍神アレスが嫉妬に狂って送り出したものだったのです。
次は、ローマ神話のお話をしましょう。
西風神ゼフェルスは、花の女神フローラの侍女であるアネモネに恋をしました。
ゼフェルスの妻であり、自分が愛されているとばかり思っていたフローラはそれを知り、腹を立てました。
侍女のアネモネを追放してしまいます。
ゼフェルスは、風の神です。すぐにアネモネを見つけ出し、二人は愛し合いました。
捨てられたフローラは怒り狂い、己の姿をツバメに変えて、二人を追っていきました。
アネモネとゼフェルスの合いの場面を見せつけられ、逆上のあまりアネモネを花に変えてしまいました。
けれどもゼフェルスは妻のもとには戻りませんでした。
花に変えられたアネモネに付き添い、優しい風で撫でるように彼女を愛し続けたのでした。
このお話が元になって、イギリスではアネモネの花「ゼフルスの花」と呼ぶこともあるそうです。