少し前に雨から霙に変わりました。まもなく完全に雪になることでしょう。
蕾の塊の中から、少しずつ花軸を螺旋を描くように伸ばし始めたわすれな草。
スカイブルーの小さな花が、自分と同じ色の空を懸命に見上げていた昨日だったのに、
今日は、そのスカイブルーの小さな花に留まった冷たい霙の雫が、
「空を見上げるな。」と言わんばかりに重くのしかかり、大地へねじ伏せようとしています。
可哀相な Forget me not
I'll never forget you whenever it's snowy or not.
私のわすれな草の思い出は、友だちの家近くで毎年見た光景。
毎年、季節が巡ってくるたびに、その空の色で埋め尽くさた湿地の光景。
その光景に、うっとりすると同時に、言葉にならぬ切なさを感じていました。
あの切ない気持ちはなんだったのでしょう?
子供ながらの美への耽溺だったのでしょうか?
そして、もう一つは、わすれな草にまつわるお話です。
中世ドイツにおける、騎士ルドルフと恋人ベルタの悲恋物語。
ある日のこと、騎士ルドルフはドナウ川の川岸に咲いていた美しく小さな青い花を
恋人ベルタのために摘もうと手を伸ばしました。
ところがなんということか、足を滑らせ川に転落してしまったのです。
摘んだ花を川岸に残された恋人に投げながら、ルドルフは、
「君のことを愛しているよ。僕のことを忘れないで。」と叫び、
そのまま激流に飲まれていきました。
一人残されたベルタは、自分の命と引き替えに摘んでくれたこの花を
恋人の墓前に供え
彼の最後の言葉となった「僕のことを忘れないで」を 名もなき小さな花の名前としました。
それからベルタは、一生、髪にこの花を飾っていたということです。
花言葉、“私を忘れないでください”も、この悲恋物語に由来するそうです。
イギリス、ロイヤル・アルバート社 Flower of the Month Series より、7月のカップ
"FORGET ME NOT"
FLOWER FAIRIES の絵本の中でも、わすれな草の妖精を二人見つけましたよ~♪
THE SONG OF THE FORGET-ME-NOT FAIRY
So small, so blue, in grassy places
My flowers raise
their tiny faces.
By streams my bigger sisters grow,
And smile in gardens
In a row.
I've never seen a garden plot;
But though I'm small
Forget me not!
草深いところで
とても小さな、とても青い花たちが
その小さなお顔を持ち上げる
小川のそばで、私のお姉さん達は育ったの
通り沿いの庭で
お姉さん達は微笑むの
庭なんて見たことないわ
私はとっても小さいけれど
私のことを忘れないでね。
(ちょっと訳しずらい詩ですね。)
THE SONG OF THE FORGET-ME-NOT FAIRY
Where do fairy babies lie
Till they're old enoughhh to fly?
Here's a likely place, I think,
'Mid these flowers, blue and pink,
(Pink for girls and blue for boy:
Pretty things for babies' toys!)
Let us peep now, gently. Why,
Fairy baby, here you lie!
Kicking there, with no one by,
Baby dear, how good you lie!
All alone, but O, you're not―
You could never be― forgot!
O how glad I am I've found you,
With Forget-me-nots around you,
Blue, the colour of the sky!
Fairy baby, Hushaby!
上手に飛べるようになるまで
妖精の赤ちゃんは何処でねんねしているの?
ここにちょうど良い場所があると私は思うのよ
花の真ん中の青とピンクのところよ
(ピンクは女の子用、青は男の子用の
赤ちゃんの可愛いおもちゃなの!)
さあ、そっとのぞいてみましょう。なぜって
妖精の赤ちゃんがここにねんねしているからよ。
足をばたばたさせながら、誰もそばにいないのに、
なんておりこうさんに、ねんねしているのでしょう。
全く一人で、でも、おぉ、一人じゃないわ―
あなたは絶対、忘れられる事なんてないのよ―
あなたを見つけたのよ、なんてうれしいのでしょう
あなたを取り囲むわすれな草と一緒にね
お空の色と同じブルーなの
ねえ、妖精の赤ちゃん、シーッ、声を出さないでね