~ぶらぶら江戸散歩~vol.100『築地』 | 文化家ブログ 「轍(わだち)」

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江戸開府より約400年。東京下町には、江戸の息吹が今なお息づいております。
身近な江戸をぶらぶら散歩。新富に生まれた私、中西聡。
八丁堀・日本橋を中心に、江戸の町のちょっとした情報をお届けいたします。

今回ご紹介いたしますのは、地元、『築地』。
まさにキリ番を飾る100号!! とは言え、気負うことなく、いつも通りに参りたいものですので、地元をご紹介いたします!!

築地と言いますと、皆さま、『市場』を想像される方多いでしょう!確かに、『市場』こと魚河岸(うおがし)は東京でも人気の観光スポット。「市場」は『場内』と『場外』に分かれております。『場内』は魚のプロの仲買人たちが、商売をするエリア。他にもそんな商売(競り)の様子を観光客に見せるサービス、皆さんもメディアでご覧になったことがお有りでしょう!!
場外は寿司屋をはじめ、多くの飲食店、調理器具、雑貨店がひしめき合うエリア。
土曜日になりますと、朝から国内外を問わず、多くの人でにぎわいます!!

物の例えの川柳で、江戸時代には毎日3,000両のお金が落ちたと言われます。朝は魚河岸で1,000両、昼は芝居町で1,000両、夜は吉原で1,000両。実際にこれだけのお金が動いたかどうか?!ではありますが、それだけの活気が魚河岸にはあったと言う事でしょう!!

そんな市場のうち、場内市場は豊洲に移転をいたします。
豊洲新市場は、本年の11月7日に開場との事。今の築地より3倍も広い場所を確保した豊洲新市場。時代の移ろい、土地の問題、移転は仕方ない事なのでしょうが、一縷の寂しさを感じる次第です。

100号を記念する回に、しんみりした雰囲気には似合いません~。
今回は、そんな市場以外の築地をご紹介したいと思っております!!老舗のお店などなど。
それでは!行ってみましょう!!

まずは、築地より銀座方面に向かって、横に3本の大きな通りが走っております。
一番の銀座寄りが、「昭和通」、続いて「平成通」、一番築地よりが「新大橋通」です。新富、築地生まれの方々には、この「新大橋通」は都電が走っていた『市場通り』として親しまれているかも知れません。
そして、「昭和通」と「平成通」の間には、首都高速心環状線が走っております。古地図を見ましたら、そこには大きな堀川が江戸時代には流れておりました。


首都高速心環状線


私が小さいころは、すでにこの堀川は首都高速になっておりましたが、つい昭和の始めまでは、まだまだ川が流れおり、さらにはこうした堀川に面した家の2Fからは、釣竿を垂らして釣りをする風情が見られたそうです!!

 

うなぎの宮川


平成通りを進みますと、うなぎの名店「宮川」が見えて参ります。
全国に展開する、うなぎ「宮川」の総本舗。創業は明治26年にさかのぼります。
道の前を通るだけでも、甘いタレの匂い、芳ばしい焼きの香がただよい、食欲をそそられます。これから本格化する真夏。ここを乗り切るには、うなぎは持って来いでしょう!!
夜は、オーダーが入ってから、さばき始めるので、蒸し上がるまでに、1時間はかかりますよ!!

 

鳥の宮川


その「宮川」のお隣。鳥屋さんの「宮川」がございます。正式名称は、『宮川食鳥鶏卵株式会社』。店構えを一目見ただけで、長いこと、ここで商売をしている姿が分ります。創業は明治35年。業務用だけではなく、一般家庭向けにも店頭販売している事から、年末にはお正月を迎えるために鳥を求める長蛇の列ができるのです。

 

八竹 茶巾


そんな、2軒宮川を背にして、新大橋通りに向いますと、大阪寿司の老舗「八竹」が見えて参ります。大正13年創業。本店が四谷にございます「八竹」の姉妹店。
大阪寿司だけあって、押し寿司が有名ですが、看板メニューは何と言っても、茶巾。
大振りの茶巾寿司の中には、海老、アナゴ、レンコン、シイタケなどの具がたくさん入り、ふっくらした卵焼きで巻かれております。

 

黒沢


さらに、新大橋通りに向って歩みを進めますと、風情ある日本家屋の店構えが。
こちらは、鉄板焼きの「黒沢」。築80年の古民家を改築した大正ロマン漂うお店。
店内に入りますと、1Fと2Fに大きな鉄板が、シェフが目の前で調理をしてくれます鉄板焼き。食後のデザートは2Fのサロンへ場所を移し頂けます。
店内には、日本を代表する名監督『黒沢明』さんの写真が!!え?!店名といい、もしや?と思いましたら、監督のご親族が経営なさるお店だそうです。

 

築地本願寺


さらに、新大橋通りに出ますと、皆さんご存知の『築地本願寺』が見えて参ります。
元来、浅草にありました、浄土真宗、西本願寺派の寺院。
振袖火事こと、明暦の大家で焼失し、その後、この築地に移転をいたしました。
イスラム様式にも、インド様式にもヨーロッパの様式にも見える独特の本堂。こちらは1934年に建設されたものです。
パイプオルガンを備えた本堂。本尊は聖徳太子手彫と伝承される阿弥陀如来立像。
そんな由緒正しい寺院ですが、誰でも気軽に入れますので、ぜひ築地散歩の途中で立ち寄ってみてください。
これだけでも、まだまだ語りつくせない『築地』。
ぜひ次回101回からも、江戸、そして地方(番外編)も引き続きブラブラいたします。
歴史、地のものを感じたままにお伝えして参りますので、ぜひ、皆さま、これからも『ぶらぶら江戸散歩』ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

それではぜひ、皆さんも、『築地』をブラブラ散歩してみてください。

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