【イベント後記】日本神話の女神たち VOL.1@清澄庭園 | 文化家ブログ 「轍(わだち)」

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3/22(土)、東京・深川エリアにある清澄庭園にて、JPイベント「日本神話の女神たち VOL.1」が行われました。その様子をお伝えします。







東京にある日本庭園の最高峰

まだ肌寒い風が吹くなかお天気は快晴。庭園内には梅の花がちらほら咲き始め、早咲きの桜「寒緋桜(カンヒザクラ)-花言葉:あでやかな美人」が満開でした。

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清澄庭園は、江戸時代の造園手法「回遊式林泉庭園」で造られた本格的な日本庭園です。江戸の豪商「紀伊國屋文左衛門の屋敷跡」とも言われ、のちに下総国関宿の城主・久世大和守の下屋敷となり、明治時代に三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎が庭園として完成させました。別名「石の庭」。日本全国の名石が集められ庭園内に配置されています。
会場となる庭園内の「涼亭」は銅版葺数奇屋建築の平屋で、東京都選定歴史的建造物にも指定された由緒ある建物。まるで池に浮かんでいるようなその姿は、今回のイベントのテーマである神話の世界を彷彿とさせます。

当日の参加者は9名。残念ながらインフルエンザで来れなかったご夫婦もいらっしゃいました。

今回お話ししてくださった先生は、首都大学東京で日本古代の神話と歌を専門として教えてらっしゃる猪股ときわさん。上品でかわいらしい猪股先生、はじまる前に庭園を一周され、どんな植物がみられるのか観察されていたそうです。

日本の春と女神~コノハナノサクヤビメ~

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会場ではお香も焚かれ、先生が用意してくださったレジュメをもとに寺子屋スタイルでイベント開始。

テーマは、春・桜の季節ということで神話に登場する女神「コノハナノサクヤビメ」を取り上げました。実はこのサクヤビメにはイワナガヒメという岩石の女神であるお姉さんがいて、まさに「石の庭」でイベントを行うのも感慨深いものがあります。



話はまず、桜の和歌についてや山の桜の意味などから。さすが大学教授である猪股先生、わかりやすい説明で会場の雰囲気も一気に神話の授業モードに。
桜は咲いてはすぐ散る儚いイメージですが、また来年になってもきれいな花を咲かせることから、死と再生を繰り返す植物的な生命力の力強さを象徴しているそうです。

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更に話はすすみ、山桜の精霊といわれている女神コノハナノサクヤビメの物語(古事記)を原文付きの現代語訳で読んでいきます。みなさん鉛筆を片手に、意味を書き込みながら熱心に読んでらっしゃる様子。サクヤビメの美しくも儚いという魅力、イワナガヒメとの比較、インパクトの強い出産場面のお話などなど・・・
日本人が古代より桜に思いを馳せ、物語を通しその生命力の強さに憧れた気持ちがわかるような気がしました。
気が付けば時計の針が、イベント終了予定時刻の12時を過ぎていました。
その後の質問タイムでも、参加者の方から続々と質問が。猪股先生、お話がとてもわかりやすいので私も含めスタッフも初めての神話イベントを心から楽しめました。参加者のみなさんもご満足の表情で会場をあとにされました。

最後に猪股先生、「緊張すると思ったけど、話し始めたら大丈夫でした。涼亭の雰囲気もよいですね」と笑顔。古事記には、まだまだたくさんの神様の物語があります。VOL.2もお楽しみに!

東京の癒しスポット清澄庭園

枯山水、泉水、名石を愛でながらゆったりすごせる清澄庭園。季節の花や植物も楽しめる癒しスポットに、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。日曜日と祝日の午前11時と午後2時には、無料で庭園ガイドさんが付くそうですよ!

★清澄庭園information
開園時間:午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
休館日:年末・年始
入園料:一般 150円 65歳以上 70円(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)
庭園ガイド(無料):日曜日と祝日の午前11時と午後2時
所在地:東京都江東区清澄二・三丁目
交通:都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」(E14・Z11)駅下車 徒歩3分

参考:東京都公園協会ホームページ