　ベストセラー作家、三浦しをんさんの著作を初めて読んだ。

　『神去なあなあ日常』。

　このところ著者の作品が続々映画化されているが、この作品も映画化され間もなく公開というニュースを映画館で知って、本を入手したのだ。

　舞台は三重県の山奥の村、神去。横浜の高校を卒業したばかりで、将来の目標もなくフリーターで過ごしていた主人公、勇気が、突如この地に林業の研修生としてやって来る。

　最初は逃げ出すことばかり考えていたが、次第に村に、そして林業に惹きこまれていくお話。

　なあなあというのは、村の人達が使う口癖。ゆっくり行こう、まあ落ち着け、といったニュアンス。

　「長い長い年月をかけて木を育てる林業は、どんな風雪が襲ってきても悠然とかまえていられる性格じゃないと、とても勤まらない」（原文ママ）。だから、村で生活していくためには、なあなあの精神が必須なのである。

　軽い文体で書かれているが、林業に勤しみ、蛍を見、山火事を消化し、神事を体験し、恋愛する様子は、本当に生の１８歳の男子の本音が表されているようだ。

　こんな生き方もいいかも…と妙に納得させられてしまう。

　早く映画も観たい。

三浦しをん著『神去なあなあ日常』を読む