前回書いたオシャレソロが一段落して、余裕ができてやり始めた『ブルース・スケール』という本が面白い。タイトル通り、ブルース・スケールのエクササイズの本。(全楽器対象。ピアノはC版を使う。他の楽器用のE♭版やB♭版もある)

 

ピアノ専用ではないので、鍵盤ではあまり弾きやすくないフレーズもある。

この本が一番役に立つのは、全く初めてブルース・スケールを学ぶ人より、むしろ「見よう見まねでブルースのアドリブを始めて、どうにか格好がついたのでそのままズルズルと……」という(私のような)タイプだと思う。

 

洋楽ロックのブルース系の曲に馴染んでいたためブルース的な音の使い方は分かるので、ブルース・スケールの練習はそこそこに、ジャズのリズムでフレーズを弾くことに突っ走るタイプ(すみません私です)。そういう先走りしがちなタイプの人にはおすすめしたいです。

 

特に「一応『ブルースっぽく』は出来るけど、ジャズ・ブルースとなんか音使いが違う……」と感じる状態なら、おすすめ。ノリや感覚だけじゃなくて、コードでのアドリブのような段階的な練習をやってみると、新しい発見があります。

 

 

最初のエクササイズは、B♭メジャーとB♭マイナー、同主調の2つのブルース・スケール。

これを、1オクターブ半のスケールに沿ったメロディラインとして練習。

 

参考例のメロディラインが、基本的な音の並びなんだけど適度な意外性もあって、弾いていて面白みがある。付属CDのサックスによる模範演奏も、リズムセクションのバッキングも、スケールの教材っていう堅苦しい感じじゃなくて、聴いて楽しい。

 

 

で、その次の段階のエクササイズは、自分でメロディラインを作って、メジャーとマイナーの行き来を自由に出来るようにする。4小節ごとにメジャーとマイナーを入れ替え、次は2小節ごと、さらに1小節ごとに入れ替え。

 

しかし、この「メジャーとマイナーを使い分ける方法」だけですべてのフレーズを作るのは限界がある。それをどう解決するか?という解説があって、具体例としてブルースのヴォキャブラリーが紹介される。

 

この順番がとても良い。最初からいきなりブルースの完成したボキャブラリーを羅列するんじゃなくて、一度要素に分解して練習してから、その限界を説明し、解決策としてドッカーンと大量のボキャブラリーを出してくるので、説得力があります。

 

 

 

さらに本書の後半は、実際の曲から数小節を引用して応用解説。

例に使ってる曲が「Now's The Time」「Watermelon Man」「The Sidewinder」「Freddie The Freeloader」「Straight No Chaser」など豪華ラインナップ、おまけにリズムチェンジ(I Got Rhythmのコード進行を使った曲)とコンファメ進行(Confirmationの進行を使った曲)まで付いているというお買い得っぷりです。

 

まだ最初のほうのエクササイズをウロウロしている段階だけど、いろんな面白い発見がある。今年の残り半年間は、じっくりこの本と付き合おうと思っています。

ブルースをもっとちゃんと弾けるようになるぞ!

 

 

『ブルース・スケール』Cインストゥルメント

(原題 The Blues Scales    Essential Tools for Jazz Improvisation)

Dan Greenblatt著 ATN刊