ジャズドラムをやることは、ジャズピアノのコンピングの上達に役立つと思う。

ピアノとドラムは、コンピングという面で見ると意外に共通する部分が多いからだ。

 

(これは「ジャズピアノとジャズドラム」の組み合わせの場合。ロックのドラムだと少し事情が違っている。ロックはバスドラの基本が1、3拍で、ジャズのバスドラの2、4拍とは違うため)

 

 

コンピングに役立つという即効性以外にも、ドラムをやると良いと思うのは、ある曲を別の面から見られることだ。

ピアノとドラムで同じ曲を練習すると、地図で言えば、「等高線のある地形図」と「地下鉄の路線図」を重ねて見るような感じになる。

 

 

さらに、ドラムをやると、なにかと理屈っぽくなりがちな「ジャズピアノ的な考え」とは別の視点を持てるのも良い。

 

自分がそうだったのだが、ジャズピアノをやると、一度はどっぷりと音楽理論にハマる時期が来る。理論さえ勉強すれば全てが解決するような幻想を持ってしまうことがある。

多少の理論が分かっても実際に演奏で活かせなかったらどうしようもないのだが、渦中にいるとそれが見えなくなってしまう。そして弾けない時に「いや〜理論は分かっているけど」と自分で自分を誤魔化すこともある。絵に描いたような「畳の上の水練」である。

 

ドラムだと、そういう姑息な誤魔化しが効かない。手足をコントロールできない状態は一目瞭然で誤魔化しようがないのだ。そこから、ひたすら練習することで試行錯誤し、無数の小さい発見を繰り返しながら、少しずつ出来ていく過程が面白い。

(たとえばスティックの太さを少し変えてみると、苦手だったダブルストロークがサラッとできるようになったりする)

 

「ジャズピアノの人がサブでもう一つ楽器を始めるとすれば、何が良いか?」って、たまに出る話題だけど、以上の理由で個人的にはジャズドラムをオススメしたいです。

とりあえずスティック1000円と座布団1枚で始められて、同じジャズという世界でもピアノとはちょっと違う景色が見えるので。