ジャズのセッションで管楽器がフロントにいる場合、ピアノはリズムセクションの一員で、基本的にテーマは弾かない(練習会的なセッションで弾くことはあるけれど)。

 

これ、頭では分かっていても、演奏の現場に行かないと、初心者はなかなか実感が難しいと思う。私も最初はよく分からなかった。

 

ジャズピアノを始めたばかりだと、どうしても音源としてピアノトリオやソロピアノを聴くことが多くなる。するとピアノがテーマを弾くのが当たり前で「リズムセクションとしてのピアノ」を実感しにくい。「初心者は早くセッションに行け」とよく言われるのは、こういうことを実感するためもある。

 

セッションで分かるのは、同時に演奏する管楽器の圧倒的な存在感。すぐ近くでトランペットやサックスを聴くとすごい音の圧力で、最初は圧倒される。

管楽器は直接コードを演奏しない(スケールになる)ので、音の感覚(一音の重み)がピアノとはちょっと違う感じがする。そして基本的にテーマとアドリブソロしか演奏しない。

 

それに比べてピアノは、まずイントロを弾き、テーマのコンピングを弾き、各楽器のアドリブソロのコンピングを弾き、自分のアドリブソロを弾き、後テーマのコンピングを弾き、エンディングを弾く。最初から最後まで、ドラムソロの時以外はほぼずっとコードを弾いている。「リズムとコードを提示する」リズムセクションの楽器なのだ。

ベースやドラムと立場が近いのだが、同じではない。ギターとは立場がかぶる。

 

この辺の楽器による「立場の違い」の感じは、音源を聴くだけだとちょっと体感が難しい場合もあるが、実際に演奏の場に行くと分かりやすいと思う。