トランスジェンダーの解決策と多様性
トランスジェンダーの解決策と多様性“なぜ、このタイトルなのか。”ボク自身、トランスジェンダーでありながら、その理解が間違っていたからです。ボクは数か月前まで、『トランスジェンダーの解決策は単純で、性別適合手術(SRS)をすればいいんだ』と思っていました。『FTMは完全な男性に、MTFは完全な女性になる』ことが解決策なんだと、誤った理解をしていたのです。LGBTを知る多くの方がボクのように、そう思っていると思います。この記事では、『一見単純に思えるトランスジェンダーこそ実は複雑なのかもしれない』ということを伝えたくて書きます。――――――――――――――――――――――――――――――――――“とあるFTMさんの考え”数か月前、診断書を書いてもらうために通っていた精神科の先生に勧められ、とあるLGBTの集会に参加しました。色々な性の方が、十数人参加し、自分や、お互いの性を理解する、医師が関わる真面目な集会です。集会については、また別の記事で詳しく書きたいと思いますが、その会で知り合った方のお話です。そこで出会ったのは、ボクと同じFTMの方です。年齢は少し上で、ボクよりも男性的な見かけの方でした。『FTMは短髪でないといけない』と、思っていたそうで、ボクの何とも中途半端な髪型を見て驚いていました。(※戸籍が女性であるうちは中性的に、と考えて)その方が言うには、『胸だけとりたい』『男性が好き』とのこと。ボクは『胸の切除』ことは勿論、『子宮、卵巣の切除』『膣閉鎖』『陰茎形成』まで、完全な男性になるための手術は、全部全部したいと考えている上、恋愛対象は『女性』なので、その方とボクの考えるゴールは全く違うのです。その方は、トランスジェンダーで、ゲイでした。身体に違和感を感じるが、完全な男性を目指しているというわけでないということでした。――――――――――――――――――――――――――――――――――これが性の多様性か、と思った日でした。ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、無性愛者など、多様な性があることは、知っていましたが、ボクはトランスジェンダーの多様性を、全く考えていなかったのです。自分がトランスジェンダーだからでしょうか。全部知っている気でいたのが、恥ずかしいくらいです。『とりあえず、性別適合手術を受けたらそれでいいんでしょ?』というわけではないのです。たしかに、多くはそれで解決するかもしれません。ボクだってそうです。しかし、解決策は人それぞれ違うんだ、と。どこまで手術を受けるのか、そして最終的にどうしたいのか、本人しか解決策は分かりません。『自分はトランスジェンダーと診断されたから、完全な男性、完全な女性、を目指さないといけない』『トランスジェンダーの方は手術をしたいと考えている』と、誤解している当事者、パートナー等もいらっしゃるかもしれません。手術をすると戻れません。ボクも自分自身と今一度よく向き合って、考えたいとおもいます。有難うございました。