家族4人で住んで慣れ親しんだ街、
感傷に浸らないように
急いで駅に向かった。
住んでいた東京都内の西側から
新居がある東側の方へ電車で縦断。
これまで何度も引っ越しを
してきてたけど、
一人暮らしの経験がなく
いつも親やパートナーの意向に沿うことが多くて、
自分が一人で、全くそれまで縁のなかった場所の
物件をみて、引っ越しまでの手続きをするのは
初めてだった。
(今回も契約者は彼だけど)
ああ 一歩踏み出した感覚だなあ。
なんだかすがすがしい気分で
1人で達成感に酔っていた。
新居に着くと、
待っていた引っ越し屋さんに
荷物を運び入れてもらう。
事前にカーテンなど、
大きな買い物は済ませていたけど、
細々とした生活用品の買い物が残っていた。
Hは結局、いつここに
引っ越してくるだろうか。
なるべく早く自分の荷物を
車に積んで持っていきたいとは
言っていたけど、
そのあたりは曖昧にされていた。
まあ家を出るタイミングとか、
色々調整が必要だろうし。。
あまり気にせず、
任せることにしていた。
買い物に出ると、
タイミングよくHから
電話がかかってきた。
「おつかれさま。
引っ越し無事済んだ~?」
声の明るさに少しびっくりした。
ちょうどよかったと、細かい確認をした。
「うん。今、シャンプーとか色々買いに来たけど
何を使ってる?わたしが選んでいい?」
思えばHの日常の生活については
まだほとんど知らなかった。
こんな会話は初めてだ、とそのとき思った。
「シャンプーは●●がいいなー。
ボディソープは任せるよ。」
これから、ひとつひとつ
お互いのやり方を擦り合わせて生活するんだ。
「今日、仕事の合間にそっち寄るから!
待っててね。」
張りきった声で言ってくれた。
Hも嬉しいんだ。
その気持ちが伝わってきた。
そして、午後様子を見に来てくれた。
「まだ片付かないね~。
今日仕事終わったらもう一回来るよ。
それから、荷物は週末の3連休で、
全部運んでくるから。
こないだ話をしたら、
『じゃあもう出ていくなら、二度と帰ってこないつもりで
出てって!』と言ってたよ。」
「え そうなんだ」
どうやら、奥さんから
別居先の場所を教えてほしい
と強く求められたそうだけど、
Hは断固して拒否。
奥さんから、
半ばあきれたように言われたとのことだった。
「そっか。。よかった!
じゃあもうすぐ来てくれるんだね。」
その日、Hは
仕事が終わった後にも来てくれ
終電で帰っていった。
