今年の夏の前半は暑くて、後半は雨で、それに加えてコロナ禍で
外に出られない日が続いたが、おかげで2週間に一度、図書館に行って
6冊の本を借りてきて読むという優雅な生活を送ることが出来た。
図書館にある好きな作家の本はあらかた読み尽くしてしまったが
そのせいで普段は読まない作家の本まで読めた。
その1冊がこの本:ビートたけし著、アナログ
インテリアデザイナー水島悟と大学時代からの友人二人と
会社の上司や仕事仲間との交友という普通の情景の中に、お笑いの達人らしく
色々なギャグをちりばめて読者を喜ばせてくれるが、
この本のメインは純愛。
喫茶店で知り合った女性と少しづつ心を通わせていく場面は
可愛いもので、そこに二人の友人が漫才の掛け合いみたいに
割り込んで来たり、急な仕事でいつもの時間に会えなくなってしまったり
悟の母親が死んでしまったりと色々な要素が絡んでくる。
ついに二人は会えなくなってしまい、悟は大阪本社に転勤して
仕事に追われる生活が続く。
悟が心を寄せているのはみゆきという名だが、上品で優雅な物腰の女性。
まだどこに住んでいるのかも知らないまま離れ離れになってしまったが、それは
会う予定の日の朝、みゆきは車にはねられて頭を打ち入院してしまったからだった。
再開してからの展開が早いのは、みゆきの記憶が戻らないからだけど
そのみゆきと一緒に暮らすことにした悟とみゆきのラストシーンが
良かった。
ビートたけしと言えばお笑いか映画と思っていたがこういう小説を書けるとはね。
さすが多彩ですな。彼の書いた他の本も読んでみたくなった。
2017年9月初刷り、10月には4刷りまで来ている。
よく売れたのだなあ。
そう言えば書評でも良く書かれていたのを思い出した。