幼い頃
家で飼っていた犬がいた。
台所に繋がる小さな物置に
繋がれていたその子を
私は可愛がりもせず
時々餌をあげに行く程度だった。
動物は大好きだけれど
あの頃は
ペットは家族同然でなく
番犬代わりだったから
抱っこしたり
戯れあったりはしなかった。
でも餌をあげに
暗い物置にいく度に
可哀想だなといつも思った。
歳をとったのか
病気だったのか
私にはわからないけれど
弱って目が見えなくなって
ひっそりと死んでいった
その子のことが
私は哀れでならなかった。
そう思いながらも
何もしなかった自分が
さらに悔やまれてならない。