自分の記憶の一番最初
自分のいた場所は父のひざの上である
古い写真を見ても父が私を抱っこしている写真はほとんどない
当時の自宅の縁側などで胡坐を書き、そこに私を座らせている
そのころの写真を見ると、私の生まれる前、つまり母と付き合っていたころ、あるいは結婚後まだ子供の生まれる前などの姿があった
私の母は一人娘で亡き祖父はとても大事にしていたそうだ
95歳になった祖母は「とても気を使ってくれるやさしいひとだった」と語っている
確かに祖父などを交えた食事の写真では祖父も楽しそうにしている
一方母だけとの写真ではガキ大将が彼女に甘えているようなしぐさだ
こういった写真を父の生前に見ることはなかった
あるいは見ていてもその「意味」を理解することはなかった
厳しくて固いイメージの父とは異なる姿だ
もしもう少し違うタイミングでこの写真を見ていたら、父とも少し違う思い出が残ったかもしれない
父と私の親子関係を象徴するような写真かもしれない