契約締結交渉は、企業活動の中で非常に重要なプロセスです。
弁護士が関与することにより、企業の利益を最大化する下地を整えるほか、リスクを最小限に抑え、契約書まわりの業務を効率化します。
特に、新規契約を結ぶ際には、リスク管理や法的問題の回避が求められますので、弁護士によるアドバイスを利用していただくことで、リスクの最小化を図ることができます。
【1. 契約書のドラフト作成とレビュー】
契約締結の第一歩は、いうまでもなく、契約書のドラフト作成です。弁護士は、企業のニーズを入念に伺い、ビジネスモデルに合わせた契約書を作成します。
内容の最適化はいうまでもなく、インデントやフォントなども含めた外見が異なるだけでも、ストレスとなる可能性がありますので、形式面においても、企業ごとのニーズを踏まえ、作成します。
他社から提供された契約書を前提に契約締結していく場合もあります。
提供された資料を、法的視点からレビューし、不利な条項やリスクがないかを確認します。
そして、クライアントには、不利な契約を結ぶリスクを回避するため、契約条項の改訂を求めるか、あえて受け入れるか、選択していただくことになります。
契約条項の改訂を求めるかどうかは、相手方との関係で判断されることがあります。
対等以上の関係であれば、改訂を求めていきやすい、となります。
そうではない場合、不利になりうる条項をあえて残したままにしておくこともあります。
企業が譲歩できない部分と譲歩できる部分を棲み分けて、可能な限り有利な契約条項とする、という判断もしていきます。
【2. リーガルチェックとリスク管理】
契約書のドラフトを作成する場合、弁護士は、ドラフトが完成した後、リーガルチェックを行います。内容が法令に違反していないか確認や、将来的なリスクの予測を行うことで、企業は安心して契約を結ぶことができます。
個々の条文の内容については、企業担当者の方が判断される場合もあります。
弁護士はその内容が法令、判例に照らし、問題無いか、チェックしていきます。
近年ではAIが回答を出してくれることもあります。その内容に驚くこともあります(できの良い場合もありますし、そうでない場合も。)。
いずれにしても、法改正、判例の推移により、随時変わっていきます。AIが学習していないこともありそうです。そのため、最新の情報を元にした条文の作成は不可欠で、弁護士によるチェックが有用です。
また弁護士は、条文相互の重複や矛盾がないか、全体の内容を必ずチェックします。
たとえば、第2条と第15条と、離れた条項が矛盾してしまっている場合もあります。条項内の矛盾には気付けても、契約全体を俯瞰したときに、離れた条項間の矛盾にはなかなか気付けませんので、弁護士はその役割を担っているともいえます。
【3. 交渉支援とアドバイス】
契約締結交渉の過程では、相手方との交渉が不可欠です。
弁護士は、交渉の戦略立案から具体的な交渉のサポートなど支援します。正確な知識と、ときには経験を補助的に活用し、企業が有利な条件で契約を締結できるようアドバイスします。
このままの条文で実際に不利になる場面を想定し、どのように変更すると回避できるか、どのように提案していくと、修正しやすいかについて、相手方の反応を確認しながら、次の一手を打てるよう、相談していきます。
あわせて、新規取引先の場合、与信調査を先行または並行して行うことがありますので、別の機会に整理したいと思います。
【4. 契約後のフォローアップ】
契約締結後も、必要に応じ、契約の履行状況を企業と共有し、問題が発生した場合には迅速に対応することになります。
売掛金の回収が滞ったとのご連絡をいただいた場合、弁護士がすぐに回収に向けたアクションを開始します。
また、一度決めた契約内容が永続することはなく、都度変更が生じます。
契約内容に変更が生じた場合や、現契約に関連して新たな合意をする必要がある場合にも、現契約全体を踏まえて、相互に矛盾が生じたり、不利益が生じたりしないよう、適切なアドバイスを提供します。
これにより、企業は利益を最大化する下地を整えていただくことができます。
以上の作業を弁護士にアウトソーシングすることで、社内の人材を本業にフル活用していただくことができます。
【5 まとめ】
弁護士は、契約締結交渉にかかわる幅広い業務を通じて、企業の利益を最大化する下地を整え、リスクを最小限に抑え、契約書まわりの業務を効率化します。
新規契約を結ぶ際には、弁護士のリーガルチェックを受けることで、安心してビジネスを展開することが可能になります。企業が弁護士にアクセスできる機会を持つことで、契約書が迅速かつ適切に仕上がる環境を作っていただくことができます。