当教室の生徒さんには、ご自身も教室を開いて子供達に音楽を教えている指導者の方もいらっしゃいます。


そこで今日は、音楽を教えるとは、どういうことなのか、というお話をしてみたいと思います。


まず、音楽の活動には、次の3つがあります。


聴くこと。

演奏すること。

作曲・編曲すること。


音楽を教えるとは、この3つの活動をするために必要な手段となる知識や技術、考え方や意識の持ち方を身につけられるよう、導いていくことです。


こう言うと、この3つの中で、聴くことというのは、誰にでもできるように思えるかもしれません。


しかし、実際はどうでしょうか。

その場に流れる音楽を、BGMとして聞き流すことはできても、音の芸術として味わって聴くことができる人は、それほど多くありません。


ましてや、音楽の語法を理解して、名曲の魅力や、演奏家の妙技を細部まで楽しむことができる方となると、グッと少なくなるはずです。


このように考えてみるとき、音楽は、聴くこと1つとっても、学習が必要であるとお分かり頂けると思います。


歌を聴くとき、

大抵の音楽経験のない人は、歌詞の意味しか楽しめません。


音感が良くて、カラオケで歌うのが好きだという人は、主旋律の音高くらいは感覚的に耳でとれているかもしれませんが、リズムの妙や楽曲の構造、副旋律やバスと共に形づくる響きまで感じ取り、曲としての仕組みを理解して歌うには、ソルフェージュの能力が必要です。


ソルフェージュの能力があると、聴くときはもちろん、自分が歌う際にも、目指すべき表現が分かるようになります。


音楽を教えるとは、ソルフェージュの学習を通して、音楽という言語を理解できるようにすることにより、表現の源泉となる、良い趣味の感覚を、その人の中に育むことに他ならないのです。


その上で、歌唱であれば発声を、各楽器であれば奏法を、技術として教えていくわけです。


それには、指導する側が、良い趣味を持ち、自身の表現を伝える力を高い次元で持っていることが、まずは必要だと思います。


すなわち、

プロの音楽家とは名乗らなくとも、

プロの音楽家と遜色ない見識と学習経験を持ち、

プロの指導者として必要なことを教えていけることが理想となります。


自身の表現を磨くには、まず名曲・名演が、なぜ名曲・名演なのか、その仕組みを分からなくてはなりません。

仕組みを分かるには、楽譜を読む力と、響きを聴く力を磨くことが必要になります。

すなわちソルフェージュの力ですね。


それを得た上で、今度は、いざ楽器に向かい、良い表現に至るまで試行錯誤して、表現の技術を習得していくわけです。


ここまでは、音楽家としての取り組みと何ら変わりはありません。

プロの音楽家を目指します!だったら、上記のプロセスを、ひたすらに極めていけば良いわけです。


指導するには、さらに先があります。

そうして得られた音楽の見識や表現の技術を、どうやって学習したのか、人に説明できるよう、論理的に整理していく必要があるのです。


そして、今、目の前にいる生徒さんをよく観察して、思い至っていない課題が何であるか分析して、必要な練習法・学習法を適切に処方するのです。


指導とは、自分の学習経験を、他者へと還元する営みです。

それは、未来を創ることと、イコールです。


学びを楽しみながら、教えていきたいものです。


ではまた☺️

🎼川端優也ピアノ塾