往年のピアニストの中でも、バッハの演奏で特に有名な人といえば、グレン・グールドだと思います。


その卓越した技術で、斬新に、実に格好良く、バッハの音楽をピアノで表現しているのを聴くと、誰しも一度は「あのように弾いてみたい」と憧れを持つのではないでしょうか。


しかし、いざ本格的にバッハの作品を学んでみようとすると、「グールドのマネはしてはいけません」なんて先生に言われたりして、憧れと現実のギャップに悩んだ方も、いらっしゃるんじゃないかなと思うのです。


では、なぜ“グールドのマネはしてはいけない”と言われるのでしょうか?


私見ですが、おそらく「難し過ぎるから」だと思うのです。


グールドをはじめとするバッハを主要なレパートリーとしているピアニストは、技巧的な音型をノンレガートで弾くという奏法をよく用います。


これは、ピアノのテクニックの中でも、かなり高度な部類のもので、基礎に熟達した人でなければ難しいのです。


さらに、“ノンレガートにすること”に注力するあまり、フレーズをカンタービレに演奏することへの意識が薄くなり、曲がもつ本来の美しさを表現することが疎かになるという問題もあると思うのです。


以上が、私が考える「グールドのマネをしてはいけないと言われる理由」です。


逆に言うと、ノンレガートの奏法に耐えるほど基礎に熟達していて、フレーズをカンタービレに演奏できる人なら、グールドのマネは、積極的にして良いと思うのです。


ピアノを音楽的に演奏するには、技術の問題で立ち止まっていられません。


基礎練習を何のためにするかと言えば、それは高度な技術をもって、音楽的な自由を手にするためだと言えます。


ピアノを生涯の趣味とする人は、ぜひ、憧れの演奏を目指して、基礎練習に励んでみてはいかがでしょうか。


ではまた☺️


🎼川端優也ピアノ塾