恩蔵絢子さんという脳科学者の方が

自宅で認知症の母と同居しながら

向き合ってきた経過を

NHK番組で放送していた


それは まるで自分自身のようで

恩蔵さんの母を見つめる愛情が

温かくも切なくて

涙が止まらなかった


今日の母は

とてもしっかりと会話が通じるし

これまで通りの返事のスピード

昨日だって

お味噌汁を作ってくれていた


少しずつ

出来ないことやびっくりすることに遭遇するたび

ショックを受けると同時に

寂しくて

心細くなる


後から聞くと

そんな時は

「なんだかいつもと違って、ぼんやりとしている」らしい

そういう違いを

自分でもわかるのだそう


今まで通りの優しくほがらかな母は

そこにはいて

歳をとったぶん 疲れたら

いつもとは違う形で 少し休憩をしながら

今を頑張って生きてくれている

それは

母の意思が失われたわけでもなく

したいことも したくないことも

今の母にだって

表現がこれまでの様にはうまくできないけれども

はっきりとあって

母は母という人のまま


誰よりも

優しくて

忍耐強くて

頑張り屋で

朗らかな女性


そんな母を受け入れながら

新しい娘でもできたかのように

毎日を大切に

穏やかに過ごせるように

ゆっくりと手を繋いで歩いてゆこう