連休を利用して日光白根山へ。
奥白根とは日光白根山の別称である。
まだ夜明け前の3時半
しばらくの間、
シャトー丸沼さんで
仮眠させていただく。
気温はさほど寒くないが、
冬季は床暖房が入るらしいその床は
その仕組みのせいか
この季節はしんしんと、
いやキンキンに底冷えがする。
持ってきた防寒着を全て着込み
ビバークツェルトに包まった。
まさか建物の中で「ビバーク」するとは。
朝起きると
同じ仮眠室には
他にもツェルトのカタマリがあった。
この日の計画は日光白根山登頂後、
五色沼の横を抜け湯元温泉に下山する。
湯元温泉の到着時間から逆算し、
この日はロープウェイを利用し
山頂駅からのスタートとなる。
登山計画書もすでに提出を済ませた。
ロープウェイの運行開始が7:30
それまで付近を散策しながら待っていると
さーっと周囲が霧に包まれ
雨が降ってきた。
雲や霧の動きがとても早い。
少し嫌な予感がした。
ロープウェイ運行開始とともに
ゴンドラに乗り込み15分の空中散歩
谷川岳や至仏山はもれなく霧の中だ。
足元には丸沼や菅沼が
かろうじて確認できる。
ロープウェイ山頂駅に着いた時は小降り。
シェルジャケットを着る。
下は撥水性のあるソフトシェルパンツ。
このスタイルで山行を開始する。
そう呟くと
目の前の二荒山神社の幟が
「風林火山」のように思えて来た。
山頂駅からすぐ上の二荒山神社に立ち寄り
登山の無事を祈願する。
鹿避けゲートを通過すると
まずは樹林帯だ。
そして…
そう呼ぶにふさわしい世界が
そこには広がっていた。
年間降水量が多い
北八ヶ岳の山麓にも似た奥白根
一面の苔を見ただけで笑みがこぼれる。
緑に包まれたプロムナードを歩くと
目につくのは苔ばかりではない。
様々な種類のきのこが
あちこちで育っている。
スギゴケの中にひょっこりと立つ一本傘
白いきのこ、一列にならんで行進
平らに傘を広げたきのこ
肉厚のきのこ
一見すると美味そうなきのこだが
私には毒のあり無しを見分ける知識がない。
仮にあったとしても、
食べられるきのこも含め
一切手を触れず、
そっとその場に残しておくだろう。
樹林帯を2時間ほど
苔ときのこに癒されながら歩いたあと
ついに森林限界を超えた。
それまでと景色が一変する。
森林限界を超えた先は
やや荒涼とした岩と砂利の世界。
苔に包まれた樹林帯も素敵だが
その先はその先で
高山に来たという雰囲気を
グッと見せつけてくれる。
ガスが濃くなっていく
その横に、まるで山頂標のような柱が立っている
地図では山頂はまだのはずだが
もしかして…
と思い柱を確認したが何も書いてなかった
恐らくは信仰に基づく碑なのだろう。
振り返るとガスの中から
賑やかな声が聞こえる。
それも上の方から。
よく目を凝らすと、そこに
うっすらと頂きのシルエットが
確認できた。
一旦10mほど岩場を下り、
そこから登り返すようだ。
クサリやハシゴはないが
三点支持は必須だろう。
ただでさえ湿った岩肌だ。
祠の近くにザックをデポし
山頂の岩稜を目指す。
いよいよ槍の穂先の時に似て来た。
眺望はゼロ
そしてここで大粒の雨が降り出した…。
以下、次号!






















