机の隅の傷痕は
あの日のものとは ほど遠い
いつかの近くのものでした
窓にはいったひびは
過去のものとは ほど遠い
未来に残るものでした
ガムテープで貼り付けたその涙の愛おしさが
作りかけで崩れた積木の貴さが
思いもよらず重いものであって
単純に背負いきれなかっただけで
ぶら下がった電線に座っては
この世の平和とやらを探してみるのです。
柵の間の蜘蛛の巣は
前から「あった」ものとは ほど遠い
今から「ある」というものでした
壁にはびこんだつるは
過去のものとは ほど遠い
未来に残るものでした
ビーズがちりばめられたその瞳の悲しさが
自ら壊していった積木の貴さが
思いもよらず重いものであって
単純に背負いきれなかっただけで
たたずむ電柱に跨っては
この世界の平和とやらを探してみるのです
この世界で再び積木をかさねていくのです。
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