※投稿を誤ってアメンバー指定にしてしまったので再投稿

 

めまいを発症してから約5年たった.

幸いにも再発していないが,

やはりめまいを通して良い意味でも悪い意味でも

大きく自分は変化しており,

あの出来事は人生の節目の一つといってよい.

 

病気というと車の故障を思い浮かべる人も多いと思う.

つまり,

「体の中の部品が壊れて,そのせいで病気になってしまった」

「だから,部品を取り替えればその病気は治る」

という感じ.

 

しかし,病気の発症にはさまざまな解釈の仕方がある.

そのどれもが正解ともいえるし,一部不正解でもある.

 

今日は,家庭医療で扱う「家族システム」の視点で

自分の経験しためまいについて振り返ってみる.

 

※下記の解説,考察は正式な文献に基づいていないため

ご関心があれば「家族志向ケア」「家族システム」「家族療法」などで

検索をおかけください.

 

1.ライフサイクル

《解説》

家族を経験していくと結婚,子育て,巣立ち,晩年,などと

いろいろなステージを経る.

そのところどころで課題があり,

大小あれど家族全体にストレスをかける.

 

当時の私のライフサイクルは「小さな子供のいる時期」.

 

発達課題は

「新しいメンバーをシステムに受け入れる」

細かくいえば,

・子供の居場所を設けるために夫婦システムを調整する

子育て,経済的活動や家事に参加する

・子育てや祖父母の役割を包括するために各大家族との関係を再構築する

など.

 

《自身の考察》

第一子が産まれて1〜2年目のこの時期は

妻と足並みを揃えて育児に参加することができず,

夫婦間のすれ違いが起こっていた.

妻からは育児へ関わらないことを何度か非難されたが,

自分としては既に十分に配慮して行動しているつもりであったし,

育児へのモチベーションが妻に比べてわかなかったのも事実だし,

非難されることでますます育児に関する協力関係を妻と作れないでいた.

 

本来は子供ができたことで

自分達の両親との関係性も変わる時期であったが,

両家とも離れて暮らしていたため,

うまく課題に取り組めていなかった.

 

 

2.関係性,役割

《解説》

家族メンバー間でどんな関係性があるのか?

良好,敵対,葛藤,疎遠,などを確認する.

それぞれの家族内での役割,それらが受診動機となった問題と

どのように関連したかに着目する.

 

《自身の考察》

子供が生まれる前までは夫婦二人であった.

食事の用意,家事など,妻から「世話される」立場にあった.

子供が生まれると,子供への世話が中心になった.

父としての心構えを促され,

「世話されている」という感覚がなくなった.

 

夫婦間の関係性も疎になった.

新婚当初の会話とくらべポジティブな内容は減っていった.

家庭内での役割も減ってきた

代わりに役割を求めて仕事へ取り組むことが一層増えていた.

 

こうした流れから,私は家族システム的にみれば

病気を発症することで『世話される』役割を再獲得した」ともいえる

 

妻はというと,子供を世話する役割に加え,

夫を世話する役割ができ大変だったと思う.

子供は,世話焼きになった・・・.

 

3.地域・社会コンテクスト

《解説》

家族は家族内で完結しているものではなく,

遠い親戚や地域,社会などのより大きなコミュニティにも開いている.

つまり外部の影響を少なからず受けるため,

「家族の内部がどうか?」だけでなく「家族の外部環境はどうか?」も大事

 

《自身の考察》

転勤でその地域に住み始めて1年も経っていなかったため,

職場の同僚以外,ほとんど関わりはなかった.

家族として困った時に助けを求めるリソースが周囲になかなかなかった.

 

 

以上

 

なお家族の見方には「食い違い」がつきものであり,

ある人からみた解釈と,別の家族メンバーの解釈が異なることが多い.

あくまで私の見解であるので他の家族メンバーからみたら別の解釈になるのだろう.

それも正解であり,一部不正解でもある.

 

仕事が忙しかったんだ,と周りに言われることも多いが,

家族ライフサイクルの課題に真正面から取り組んでいた時期

ということも大きかったんだと思う.

 

不思議なもので,

家族の役割の調整のために病気を発症していると思われることは確かにある.

 

病気には生物学的な側面以外にも,心理・社会的側面がからみあっている.